ネット選挙、実は思ったよりも色々な意味で効果があるのかもしれません
ネット選挙解禁のあだ花とも思える事例が大量に出てきておりまして、興味関心が尽きないところであります。
山本一郎です。愉快犯ではありません。
ところで、ネット選挙解禁ということでメディアが盛り上がっておりますが、その「ネット選挙」関連の動向でまずは目につくものとして、話題に乗じての愉快犯やスパムというのがありまして、まぁそういうのは必ず出るだろうなと予想してはいましが、やはりなんとも残念な感じです。
ネット選挙解禁の参院選スタート:早くもネット上の選挙活動を狙った不審な動きを確認(トレンドマイクロ )
トレンドマイクロで与党自民党の総裁「安倍晋三」のキーワードで Twitterアカウントの検索を行ったところ、16 のアカウントが確認され、中でも安倍総裁本人の顔写真を使って明確に本人と混同させる意図を感じさせるものも 10アカウントありました。(中略)なりすましアカウントは公選法で禁じられており、違反した場合、2年以下の禁固または 30万円以下の罰金に加え、選挙権、被選挙権の停止が科せられます。トレンドマイクロ禁固刑や罰金、そして選挙権の停止というリスクを冒してまでなりすましをする人達がたくさんいるようですが、これはやはりのぞきとかと同じタイプの何かなんでしょうか。ある意味で、命がけで己の尊厳をかけて全力でなりすましているわけで、見上げた根性としか申し上げようがありません。
もちろん、なりすましはまだ今のところ単なる病気という感じでしかありませんが、もう一方の選挙関連のアンケートを装ったスパムメールとアンケートサイトは、ベリサインやプライバシーマークを偽装してますからこちらは確信的な犯罪です。
応募フォームの画面にはプライバシーマークのロゴなどもあり、正当なアンケートというイメージを出しています。しかし、トレンドマイクロの確認では、このアンケートサイトをホストしているサーバは悪質なスパム業者が運営している不正サーバであり、このアンケート自体は情報詐取目的の攻撃と考えられます。また、同一サーバ上には同様の情報詐取サイト作成のためと思われるドメイン名が、複数準備されていることも確認しています。トレンドマイクロもはや命がけを超えて、全力でビジネスになっておるわけですな…。お疲れ様でございます。
こちらの偽装アンケートについては、より詳しい情報を掲載しているブログもあります。
2013年7月の参院選アンケートを装ったサイトを調べてみた。(piyolog 2013/7/6)
マスコミが「ネット選挙」と騒げば騒ぐほど、これまでこうしたネットアンケート等に興味が無かった人達もコミットしなければならないと思い込まされてしまい、ついつい懸賞の豪華さも手伝って個人情報付きで答えてしまうだろうという、そういう心理をついた悪事なのでしょう。やはり悪い輩は色々と人々の心の隙を突くのに長けていますから注意したいものです。あと、引用されているスパムメールの文面を読むと配信停止対応が示されていますが、当然のようにこちらに配信停止を申し込めばさらにたくさんのスパムメールが来るオマケ付きでしょう。古典的なパターンですがこれに騙される人は今も少なくないと思われます。
といったところで、ではネット選挙がそんなに盛り上がっているのかというと、やはりそれほど踊らされている人はいないよというデータも報道されております。
参院選、ネット「参考にしない」78%(読売新聞 2013/7/6)
ネット「参考に」20代49%70代以上は11%(中日新聞 2013/7/2)
読売新聞と中日新聞の2紙がそれぞれ独自に調査した結果ですが同じような傾向が出ており、特に高齢層はかなりネット選挙に感心が低いことが分かります。中日新聞では調査結果から見られる細かい傾向も発表していてこれが結構面白いですね。
某所でのパネル調査の速報値でも、ネット選挙解禁となって自分の選挙区の候補者のサイトなどで政策をチェックしたと回答したのは全年齢男女で1.4%しかいなかった、という結論も出ておりまして、誰だよネット選挙解禁で革命が起きるとか吹いてた奴は、と思う次第であります。
安倍内閣の支持率は、ネット情報を参考にする人が67・2%と高く、参考にしない人は55%と低い。安倍首相はフェイスブックなどへの書き込みが多く、ネット情報を参考にする人たちに評価を受けているようだ。中日新聞
橋下徹共同代表がツイッターを頻繁に使う日本維新の会の支持層はネット情報を「参考にする」「ある程度参考にする」と答えた人たちが44・5%で、自民党支持層(33%)や民主党支持層(22%)よりも高い。中日新聞こうしてみると、ネット選挙があることでなにがしかの利を得ている政党や政治家が存在していることは間違いないようです。今回の参院選に限ればネットが及ぼす影響はまだそれほど大きくないと思われますが、今後に向けてネットでの存在感をアピールしていくことは政党・政治家にとってもはや避けては通れない道であることは明かでしょう。
ただ、ネットだけで選挙をやるという政党が出てきて、ワンテーマで頑張ろうとすると結構イケてしまうんじゃないか、とも思うわけですね。このあたりは仕掛け方として、どこまでネットを組み込むかというところに面白さがあるのではないかと考える次第です。