無縫地帯

自民党のネットメディア戦略が高じてゲーム「あべぴょん」まで登場という話

躍進を続ける与党・自民党において、ネット選挙解禁の悪ノリの果てに安倍首相をキャラにしたアプリまで登場。しかも使い方を間違えると公選法違反待ったなしという面白案件で、梅雨時に心が荒みます。

山本一郎です。いろんな意味で、私は無風です。

ところで、いよいよ参議院選挙が近づいてまいりました。

参院選 393人立候補予定(NHKニュース 2013/6/21)

今のところ想定される公示日は7月4日、そして投票日は7月21日です。まだ本来の選挙活動は始まっていませんが、選挙へ向けた各政党の広報活動はすでに火蓋を切っており、それらを取り上げる各メディアの選挙関連報道も日増しに多くなっています。とくに政権を握る自民党はかなり積極的に広報活動を繰り広げているようで、メディア露出量も他党には真似できない勢いです。今年の流行語大賞候補として最右翼であろう「アベノミクス」という言葉を背負った安倍体制率いる自民党は、良くも悪くもマスコミが好んで取り上げたくなる格好の素材ということでもあるのでしょう。

そんな自民党が、これまたメディアの大好きなネタである「ネット選挙」に関連して新たな話題を提供していました。

自民党がネット選挙の専任チームを発足、口コミ動向は候補者に毎日レポート(PC Online 2013/6/20)

自由民主党は2013年6月19日、参議院議員選挙でネットを活用した選挙活動を推進する特別チーム「Truth Team(T2)」を発足させた。主な業務は、自民党と立候補予定者79人に対するネットでの書き込みを分析、監視すること。書き込みの分析結果は毎日、立候補者に伝えて、機動的な選挙活動やネットでの情報発信に役立ててもらう狙いだ。Truth Teamという名前はバラク・オバマ米大統領が大統領選で立ち上げた「Obama Truth Team」にちなむという。PC Online
チーム名の由来が米大統領選挙にちなむってそれどんだけミーハーなんだという話はさておき、自民党がネット選挙に向けてかなり真剣に勝ちを取りに来ている感は漂っています。

誹謗中傷の書き込みを発見した場合は、速やかに法的手段を取ったり削除要請をしたりするかを協議し、決断できるようにする。立候補者らがアカウントを持つFacebookやTwitter、ブログのほか、2ちゃんねるなど一般の掲示板も分析、監視の対象にする。PC Online
いよいよ、ネット民と自民党の熱い戦いがこの夏に繰り広げられるということでしょうか。それでなくても暑い夏にさらに暑苦しい事態が勃発するのは通常なら避けたいところですが、こういう熱い戦いの見物なら面白そうなので両者思う存分にやっていただきたいところです。

ところで、このネット選挙対策専任チームのトップは自民党でネットメディア局長を担当する平井卓也衆議院議員です。で、この方、なんとiOSアプリのデベロッパーとしてAppleのApp Storeに自民党公式アプリを公開しておりました。じぇじぇじぇです(こういう使い方で良いのでしょうか、よく分かりませんが…)

あべぴょん(iTunes App Store)

自民党公式ゲームアプリがアップストアについに登場!

『あべちゃん』を操作して、空の彼方を目指すジャンプゲームです。

画面を傾けてあべちゃんを空の彼方へと連れて行って!

当確バラを集めると、スーパーマンあべちゃんなどいろんなコスチュームのあべちゃんをゲットできるよ!
アプリ自体はスマホ向けゲームでよくある登りゲーですが、登場キャラが安倍さんというのがなんといいますか図抜けた感あります。まさか現行総理大臣が「ぴょん」付けで活躍するゲームが、党公式アプリとして登場するとは夢にも思いませんでした。カスタマレビューも今のところは5つ星ばかりで好評です。ちなみに確認してみたところ、どうやら日本国外でもダウンロード可能なように見えますが、海外での反応はどんな感じになるのでしょうか。

で、このゲームアプリにはSNS連動機能があり、TwitterやFacebookに「安倍総裁ってこんな人」みたいな情報を投稿できるようになっているようです。そこで気になったのが、未成年がこのアプリを使ってSNS連動機能を使ってしまうとどうなるのかということです。

「RT、ダメですよ」――ネット選挙運動、未成年者は禁止総務省が注意呼びかけ(ITmedia 2013/6/20)
総務省いわく、未成年者のネット選挙ツイートも「ダメ、ゼッタイ」(ASCII.jp 2013/6/20)

選挙期間中に未成年がこの「あべぴょん」で遊んで、SNS連動機能を使ってしまった場合、なんらかの選挙運動と判断されるような事態に陥る可能性がないのか気になるところです。総務省の見解としては「選挙運動にあたるかどうかは、個別具体の事実関係に即して判断されます」とあります。まぁ、自民党のネットメディア局長自らがデベロッパーを務めるアプリですから、その辺りの問題は十分に精査されてクリアになっていると期待したいところですが、今後の展開次第ではあべぴょんは未成年が遊んではいけないアプリになる可能性もありそうです。

こういう問題も含めてネット選挙にまつわる課題はまだまだ多く残されており、今後も奇想天外なトラブルが起きるのではないかと思うと、今から期待でわくわくしてしまう次第です。

もっとも、この平井議員ですが、以前よりしょっぱい話が多数ある、いろんな意味で「向こう傷を問わない」先生の一人です。おそらく公示前後に、平井先生にまつわるいろんなお話が出てきてしまうのではないかと気を揉むところではあります。

やはり、成長業界の支持者が集まると、なかなか微妙な感じのお話が湧いて出るのもまた世の習いということなのでありましょうか。さてさて。