無縫地帯

スマホの普及とSNSの普及は持ちつ持たれつのようです

総務省から平成24年度の「通信利用動向調査」が発表となりました。有意義なことがさまざま書いてあるのですが、スマートフォンとSNSの関係について興味深い部分がありましたのでピックアップしたいと思います。

山本一郎です。このところコーヒーの飲みすぎで胃がもたれております。

総務省が平成24年度の「通信利用動向調査」結果を発表しておりました。表題の通り、スマホとSNSは持ちつ持たれつの関係、というか、スマホでのコミュニケーションに最適化されたSNSはメールとは別のコンタクトラインの機能を担っていることが数字面でも立証されつつあるのかなといった印象ですね。

平成24年通信利用動向調査の結果(総務省 2013/6/14)

これを受け、様々な媒体も調査結果の要約等を記事に取り上げています。

「スマホでネット」31.4%に倍増総務省調査(朝日新聞 2013/6/15)
スマホの世帯普及率5割にタブレットも15%が保有、総務省調査(産経新聞 2013/6/14)
パソコン保有率は3年連続下落、スマホ・タブレットは急伸――総務省調査(2013/6/17)
国内一般世帯におけるスマートフォンの保有率は約5割へ。総務省の調査で判明(AppLab 2013/6/14)

ざっと概観したところ、やはりスマホやタブレットの急速な普及と、PC保有率の緩やかな減少が目につきます。また、総務省の資料にあるグラフを見ると、一般世帯における固定電話とFAXがやはりPCと同じような割合で減少傾向にあることが分かります。やや強引ですが、スマホやタブレットが固定電話/PC/FAXに替わるものとして家庭に普及しつつあるという考え方もできそうです。

また、ちょうど同じタイミングで博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が「メディア定点調査2013」の結果を発表しています。

スマホ所有率が1年で14%増、携帯ネット接続もより長く~博報堂DY調査(INETNET Watch 2013/6/11)

こちらのデータは総務省の調査と異なり調査対象地域が日本全国ではなく、しかも一般に公開されているのが東京地区のみとなっていますが、そこで見られる傾向は総務省のデータとほぼ一致する形となっていましたが、こちらの調査結果で注目したいのは携帯電話からのネット接続時間の傾向です。

携帯電話からのインターネット接続は、15~19歳の男女と20代女性では1日あたり100分を超えており、全年代平均の50.6分と比較して倍以上の値となった。また、調査年での比較を加味すると、20~29歳女性はこの1年で、携帯電話からインターネットに接続する時間が1日あたり52.1分も増え、合計119.9分に達した。INETNET Watch
総務省のデータでもネット接続にスマホでのネット利用が最も多いのは20代というデータが出ていましたが、東京の20代女性は1日あたり約2時間もスマホでネット接続しているという数字はかなり驚きです。

実は同じタイミングでもう一つ、上記2つの調査結果と関連する統計データが出ています。

日本のSNS利用者、4,965万人でネット利用者の過半数超え……ICT総研によるSNS利用動向調査(RBB TODAY 2013/5/30)

アンケート結果では、約55%が「何らかのSNSや通話・メールアプリを利用している」と回答。利用率順では「Facebook」34%、「LINE」27%、「Twitter」26%、「mixi」22%、「Skype」16%となっている。スマートフォンユーザーに限ると、「LINE」54%、「Facebook」47%、「Twitter」35%、「mixi」29%、「Skype」22%の順となった。RBB TODAY
総務省の調査結果でもSNSへの参加は年代を問わず拡大している傾向が見られましたから、日本国民にとって「ネットを利用する」イコール「SNSを利用する」という状況になりつつある可能性はありそうです。そして、博報堂DY調査で若年層~20代でのネット利用時間が増えた理由として、このSNSが影響している可能性は大いにありそうです。ICT総研の調査ではSNSの利用頻度を質問していますが、「比較的利用頻度の高いサービスは『LINE』『Facebook』『Twitter』の順」だったとあります。昨今のLINEブームから推察すれば、まさに20代女性がLINEにはまってネット接続時間が大幅に伸びているという可能性はかなり高いのではないでしょうか。『LINE』や『FB』人気は一過性のものだという可能性もありますが、そうであったとしても、ブームが終わった後でもコミュニケーション需要が減衰するとも思えず、結果として「そこに厳然と市場はある」ことに変わりはないと考えられます。

このところの体感として、スマホの普及とSNSの普及は相互に影響して、それぞれがさらに拡大していくための牽引役となっている感が強かったわけですが、それが今回の3つの調査結果からかなり具体的な数字として証明されたように思います。

さて、ここで気になるのは、それではこのスマホとSNSのマッチポンプによるイケイケムードはどこまで続くのかということです。日経の大好きな「よく飛ぶ記事」でさらなる高みへ向かうことができるのでしょうか。

「よく飛ぶ記事」への変更認める日経新聞(虚構新聞 2013/6/17)

そろそろドコモも日経に負けてiPhoneを出す日が来るんじゃなかろうかと思ってしまいます。