Google「Stadia」クラウド大容量通信でコンシューマーゲーム機並みのユーザー体験という無謀
Googleが先日ゲーム配信ビジネスに参入し、クラウドベースのゲームサービス「Stadia」を発表しましたが、まだちょっと時代が早かったかという気がしないでもありません。
Googleがクラウドベースのゲームサービス「Stadia」を正式に運用開始したというニュースがありました。
将来的には無料でプレイ可能なサービスも提供予定ですが、現状では有料サブスクリプション形式の「Stadia Pro」のみ提供ということで、有料版サービスのレビューがぽつぽつと出てきていますが、残念ながら現時点では必ずしも理想通りのユーザー体験が提供されているというわけではないようです。
グーグルのクラウドゲーム「Stadia」には、やはりストリーミングならではの“弱点”がある(WIRED.jp 19/11/20)
ウェブブラウザーを使えるあらゆる機器に、グーグルはPC品質のゲームを10ドルの月額課金でストリーミングするという。とてつもなく大きな約束だ。グーグルが成功すれば、StadiaはPCや家庭用ゲーム機につきものだった経済的な障壁を一気に引き下げることになるだろう。この記事では様々な問題点を列記した上で今のところStadiaは「有料のベータテスト」であると結論していました。
(中略)
グーグルが成功すれば、PCや家庭用ゲーム機が担ってきたゲーム体験が、何百万ものユーザーにとってより利用しやすいものになる。これはどこから見ても素晴らしい成果だ。とはいえ、もちろん問題点もある。WIRED.jp
実績のないサーヴィスに129ドルを投資することに態度を決めかねているとしたら、それはあなただけではない。Stadiaへのアーリーアクセスを可能にするPremiere Editionは、ベータテストにお金を払って参加するような行為に大金をつぎ込むことをいとわない、熱心な信奉者のためのものなのだ。WIRED.jp確かにこれはある意味で「本当にそういうゲーミングシーンがくると信じて待てる、熱狂的な愛好者」がメインになるのかなあという雰囲気も致します。いずれは数々の問題点が改善され旧来のコンシューマーゲーム機等でのプレイと遜色ないユーザー体験を実現してくれるのかもしれませんが、現状はいわゆる“信者対象のお布施ビジネス”の類になってしまっているようですね。
有料サービスであるのにこういう状況であることに対して、どこまでユーザーが納得できるのかは個人差がありそうですが、利用してみて不満に思ったユーザーのほとんどはああこれはつまらない無駄遣いしてしまったと感じるぐらいでスルーするのかもしれないですね。中にはサービス内容に不満で返金を希望するユーザーがいても不思議ではないですが、そうした場合にGoogle側はどういう対応をするのか気になるところなので誰か早く訴訟でも起こしてみてほしいところではあります。
また、クラウドベースということでネット接続する必要があるわけですが、今のままではどうやら通信費がとんてもないことになる可能性もあるようです。
Google Stadia's data use is over 100MB per minute at 1080p(VentureBeat 19/11/19)
上の記事よれば、Stadiaで解像度1080pにてゲームをプレイしたみたところ概算で1時間あたり7.14GB相当のデータ通信量が発生したということで、もし4Kモードでプレイすれば最低でもこの倍のデータ通信量が発生するだろうと問題提起しています。
興味深いのは、この記事で取り上げたゲーム「Red Dead Redemption 2」を完遂するには通常で平均47時間を要するそうで、つまりStadiaで1080pモードをプレイすると総量300GBを越えるデータ通信が発生する勘定になりますが、同じゲームのダウンロード版の容量は約150GBということで、単純にデータ通信量だけを取り上げて比較するとStadiaはずいぶんと無駄なリソース消費になってしまうということでもあります。
Stadiaのサービス開始前にGoogleはデータ通信量についてはずいぶんと楽観的な発言をしていたようですが、どうも少し見積もりが甘かった可能性はあるのかもしれません。
Google、Stadiaにとって「データ通信量の上限は普遍的な課題ではない」(IGN Japan 19/6/29)
いずれにしても、クラウドベースでコンシューマーゲーム機並みのユーザー体験を気楽に楽しむためにはまだまだ課題は山積みということのようです。これが「5G」時代になって、当たり前のようにモバイルで大容量のゲームが楽しめるよという時代になったとき、人はどれだけパケ死すれば気が済むのかという社会実験のようなものすら想定できそうですね。