NTTドコモが「ネット上の各種トラブル対応」を謳う個人ユーザー向けサービスを発表した件について
NTTドコモが「ネット上の核種トラブル対応」を謳うサービスを個人ユーザー向けに実施するということで、一部内容が発表されました。価値のある者なら良いのですが。
ネットの炎上って本当に良くないことですよね。
スマホの普及も手伝って、日々のネット利用を通じて予期せぬトラブルに遭遇する機会は誰にも等しく増えつつある今日この頃ですが、そうした時代状況における人々の不安に対応すべく大手携帯電話キャリアの雄であるNTTドコモが新たなサービスを発表しました。
「ネットトラブルあんしんサポート」を提供-インターネットトラブルの予防・相談・補償をワンストップでサポート-(NTTドコモ報道発表資料 19/10/11)
「ネットトラブルあんしんサポート」は、個人情報の漏洩や詐欺、誹謗中傷など、インターネット上でのさまざまなトラブルに不安を感じるお客さまをサポートするサービスで、ドコモの回線契約をお持ちのお客さまがご利用になれます。これまでも法人向けとしてはネット炎上などの事故に対応した保険商品がありました。
また、キャッシュレス決済の不正利用を補償する保険を付帯いたします。NTTドコモ
最大1000万円補償、「SNS炎上保険」の中身は?(東洋経済 17/3/23)
今回のネット炎上保険は、標準的な契約の場合、1事故当たり1000万円を限度に保険金を支払う。保険料は業種や企業規模、SNSの利用状況によって異なるが、年間50万~100万円になる。東洋経済当然ながらこうした保険はあくまでも法人向けであるため個人ユーザーが気軽に利用できるものではありませんでしたが、今や法人だけでなく一般個人でもSNSなどで炎上などのトラブルに巻き込まれるリスクがあるのは同じです。そうした状況を鑑みて、一般個人ユーザーにも安心を提供しようというのが「ネットトラブルあんしんサポート」を発表したドコモの狙いなのでしょうか。
しかしながら、年間50万~100万円の保険料で提供される法人向けサービスと、月々500円年間わずか6,000円の費用しか要しないサービスが同じ内容であるはずがありません。
国内初の「ネット炎上保険」はどこまで補償してくれるのか?(ダイヤモンド・オンライン 17/12/6)
同サービスでは、デジタルと人の目を駆使して24時間体制でネットをモニタリングする。ネット炎上は騒ぎが大きくなるまで会社側も気づかないケースが多いが、専門のノウハウを持った第三者機関によって早めにリスクを特定できれば、損害を抑えることができるのだ。法人向けサービスはまさに料金に見合った至れり尽くせりな内容に見えますが、これでも一旦事が起きてしまえば本質的な損失は取り戻せないというところにネット炎上の恐ろしさがあります。
それでも万一、炎上が起きた場合に備えて、事後対応のコンサルティング、マスコミ対策支援などが保険のサービスに含まれている。ダイヤモンド・オンライン
この商品がカバーするのはネット炎上で発生した対応費用に限られる。具体的には炎上の拡散防止に努めるために要した費用やコンサルティング費用、原因調査費用、対策に要したアルバイト代などだ。ネット炎上によって企業の利益やブランド価値が毀損しても、その分は補償されない。東洋経済ドコモが提供する年間6,000円の個人向けサービスの場合はどうでしょうか。
ドコモ「ネットトラブルあんしんサポート」。コード決済の補償も(Impress Watch 19/10/11)
最新のネット上でのトラブル事例などを、専用アプリから知らせる。事例を知ることで、トラブルを未然に防ぐ効果を見込む。実際にトラブルに遭った場合や不安を感じた際には、ネットトラブルに精通した専門スタッフに電話で相談できる。必要に応じて、消費生活アドバイザーなども対応するという。Impress Watchさすがに24時間体制でのモニタリングなどはありませんし、実際にネット炎上に巻き込まれてしまっても電話で相談につきあってくれる程度で、炎上の拡散を止めるなどの具体的な支援活動は期待できないようです。まぁ、そうですよね。
ドコモのネットトラブルあんしんサポートの保険商品としての売りは不正決済補償を付帯している点にあるようですが、こちらも「決済事業者等から補償を受けられる額を除き、100万円まで」とありますから、多くの決済サービスであれば何らかの不正決済による事故があった場合にはそちらから補償を受けられる可能性が高いので、実際にネットトラブルあんしんサポートから補償を受ける事例というのはそれほど多くないのではないかと想像されます。
こうして考えると、わざわざ年間6,000円を支払ってネットトラブルあんしんサポートに入ることで解決できる内容はそれほど多くないのかもしれません。もちろん、せめてネット上のトラブルに巻き込まれた際には消費生活アドバイザーではなくネット事案に精通した弁護士の先生に初回無料で相談ができるくらいまでの内容であれば魅力的だろうとは思うのですが、さすがにそれはこの料金では無理なんでしょうか。
もしも意味がある保険であるならば、ドコモユーザーである私も喜んで保険に加入したいと思います。
一度、リアルで「えっ、この状態からでも入れる保険があるんですか」とか私が真顔で叫べる刻がくるのを正座して待ちたいです。