ドコモが株主総会を前に頑張っているようです
あのドコモが旅行事業に参入、といっても実際には少し先なので、どうみても株主総会対策に売りとなる新規事業をでっち上げておきたい野望が見え隠れして「人間だもの」という気分に浸る私はドコモユーザーです。
山本一郎です。冷風と泥濘にまみれた北方の大地に来ております。
旅は良いものばかりとは限らない、と声を大にして申し上げたい気分です。
ところで、ドコモが2013夏モデル発表以降、主である通信以外の事業展開について経済ニュース媒体等を中心に妙に力を入れてPRしているなという印象がありました。
ドコモ、奥の手は“開放戦略”通販など新規事業強化へ(SankeiBiz 5013/5/24)
SoftBankの利用者もauの利用者も、みなドコモのお客様です(日経ビジネスオンライン 2013/5/30)
ドコモが「脱キャリア」みたいなことを言い出したのは何も今回が初めてではないのですが、そういうイメージをさらに押し広げるのに必死だなと見てましたら、今度は旅行事業にも手を出すという発表がありました。
NTTドコモとJTBが新たな旅行サービスの提供に向けて基本合意(NTTドコモ報道発表資料 2013/5/31)
サービス開始自体は「2013年度下期」の予定だそうですからまだ先の話なんですが、とにかくこちら方面の事業展開で注目を集めることがプライオリティという社内事情みたいなものがひしひしと伝わってくるようです。多分に次の定時株主総会が6月18日だからというのもあるのでしょうか。
日経の記事によると、この6月の株主総会でドコモは「定款変更し、事業内容に旅行業を加える」そうです。やばいぞ、奴らは本気だ。
ドコモ、旅行業に参入 JTBと組みネット通販(日本経済新聞 2013/5/31)
面白いのは、「ドコモの顧客はKDDIやソフトバンクに比べ年齢層が比較的高く、旅行商品のニーズが見込める」とある点です。年齢層の高さと旅行商品のニーズに相関関係あるのだろうかと思っていたら、たまたま同じ日のまったく別の記事でこんな話題がありました。
SNSを見て旅行したくなる人は87.1%、実際に行く人が最も多いのは60代以上(ITNERNET Watch 2013/5/31)
「旅行に行きたくなる」と回答したユーザーには、「実際に旅行へ出かけるか」との追加質問を行い、年代別で分析を行った。「出かけることがある」の回答割合は、年代ごとに差があり、「20代」62.5%、「30代」70.7%、「40代」70.1%、「50代」67.2%、「60代以上」78.3%だった。ITNERNET Watchなるほど、高齢者層のほうが金と暇があるので旅行に出かける機会が多いのかもしれません。こうなってくると、高齢者にスマホを使ってもらえるようにする施策が喫緊の課題であることもよく分かります。先日書いたこちらの記事(シニア層にもスマホを売らなければならないキャリアの事情など)ともしっかりとリンクしてくるわけですね。
お金を使えるシニア層をがっちり掴んでいるので、彼らに対して相応しいサービスを提供しようというのはマーケティング上「アリ」ですが、ただその他の新規サービス事業を見ておりますと総花的に「土管の上」は頑張って耕していくぞというニュアンスが感じ取れ、ドコモユーザーでもある私の心が痛みます。
ところで、最近のスマートフォン視聴率調査結果によると、中高年層で「楽天市場」の利用率が上がるというデータが出ていました。
スマホの月間利用時間、女性は男性の1.4倍 - ニールセンMobile NetView調査(マイナビニュース 2013/5/28)
こうしてみると、ドコモの加藤社長が「将来は米アマゾンのようになりたい」(SankeiBiz)という発言をして話題にもなりましたが、実はドコモの真のライバルはAmazonではなくて楽天ということになりそうです。高齢者ユーザーのハートを掴むのはどちらになるのか、熱いバトルが期待できそうです(棒)。
ドコモはいったいどこへ旅をしようというのでしょうか。いっそ自社向けに幹部社員全員旅に出してそのまま帰れなくするサービスとかやると、業績が向上しそうな気がしないでもありません。