「野積み廃プラ」地元8自治会の陳情書全文

豊橋「産廃」の関心領域 7

「野積み廃プラ」地元8自治会の陳情書全文

このシリーズを緊急再開する。24年11月の愛知県豊橋市長選挙で当選した長坂尚登市長が、根の深い産廃問題にどう対応するのかを注視していたが、予想に違わずまったくの無為無策だったからだ。ストイカが24年に6回にわたって追及したのは成和環境が西七根で起こした「ここ掘れワンワン」問題だが、それとは別に、市内の廃棄物処理業者、MARUKOが市内6カ所、推計2万4000トンに及ぶ「野積み廃プラ」問題を放置し、何が起きても目をつぶる市役所環境部と一体になっている疑いが強いことが判明したからだ。 =全編無料(下線部分をクリックすると当該サイトにリンクします)。

 

第Ⅱ部MARUKOと政治

 

ストイカが長坂市政に対し、「『立ち往生』豊橋新市長ダンマリの罪」を報じたのが2024年12月24日だから、それからはや1年経った。事態はダンマリのまま、一つも変わらず、それどころか西七根と別途起きていたMARUKO問題に対しても、地元自治会で構成された「野積み廃プラから町民を守る会」からの通報や陳情に聞く耳を持たなかった。

1970年代に全国に先駆けて「530 (ゴミゼロ)」を宣言した豊橋市が、半世紀を経ていつのまにか廃棄物の不法投棄を〝黙認〟し続ける都市になり、このままでは中部経済圏の「ゴミ溜め」化するという住民の危惧に対し、自民党の根本幸典衆院議員(農水副大臣)を筆頭とする県議、市議の固いスクラムがシカト(無視)の文化を築き、長坂市長も前市長の顧問弁護士を引き継いでそこに吞みこまれたのだ。

第二の豊島になる

「第二の豊島てしまになる」――1975年から行政の不作為で16年間も廃棄物を不法投棄しつづけて累計90万トンの「ゴミの島」と化した瀬戸内海の小島の二の舞になるのではないかという危機感が、「豊」の字が共通しているにもかかわらず、豊橋の政治と行政にはまったくない。

その「鈍感力」は深刻だ。豊島のケースでは、大阪弁護士会の故中坊公平弁護士らが支援して、原状回復の公害調停が県と住民の間で2000年に成立、その処理が終わったのが2019年と40年以上を要し、国費も投じられた。日本全体の地域社会への教訓となったその経緯は香川県のサイトに詳しいが、豊橋も放っておくと取り返しのつかない事態になることは一目瞭然である。

ぐずぐずしてはいられない。現に2025年11月22日夜、住民がかねて恐れていた事態が起きた。MARUKO弥生工場で火災事故が発生、さらに同敷地で同29日夜にも火災が起きたからだ。MARUKO側は、野積みしているのはプラスチックを油化処理するためだとして、「有価物」であって「廃棄物」ではないと主張する。市も廃棄物とみなさず、時折見回る程度で済ませている。だが、MARUKOは5年以上に及ぶ野積みを続けながら、その処理設備を今に至るまで設置した形跡がない。

青竹町の豊橋市民病院(奥)の至近距離に積み上げられたゴミの山を「有価物」と言い張るが

火災によってダイオキシンなど化学物質が空中に飛散したかも知れない状態に、12月26日午後、地元8自治会代表が、野積み現場の原状回復を求める連名の陳情書を携えて、豊橋市役所長坂市長と豊橋市議会の小原昌子議長を訪れた。

長坂市長は面会も拒否

最初に応対に立った市環境部の田中久雄部長は、「とにかく、何かあれば言ってほしい。法令に基づき対応できるのであれば対応する」の一点張りで、例によってノラリクラリの平行線で終始した。火災などの事態が発生しても、市は何の危機感も抱いていないようで、事なかれに終始している。

続いて市議会の小原議長に面会したが、陳情書に目を通したうえで「陳情であれば既定のフォーマットで提出してほしい。要望書として受け取ります」と述べたので、「守る会」側はあらためて正月明けに陳情書を作成し、議会事務局に提出すると答えた。

長坂市長はもともとアポが取れなかったため、アポなしで秘書課を訪れた。「廊下ですれ違う時に渡すだけでも」と秘書課に頼んだが、秘書課は拒否。「それでも待っていよう」との案もあったが、陳情書を秘書課に渡して引き揚げ、正月明けに改めてアポの申し入れをすることになった。

MARUKO側は「守る会」側に、内容証明付き郵便を送って揺さぶりをかけている。また陳情団に同行した市議に、別の市議が「この件にかかわるっていると、そのうち刺されるぞ」と議員倫理条例3の7に違反する言葉をかけた。

市民病院の遠景。手前の青いシートをかけた野積みの山に埋もれそうに見える

このまま市が動かないのなら、これまで市への情報公開請求や、MARUKOの顧客である企業や農協などに質問状を送ってきた住民側は、次のステージ――豊嶋のモデルを参照にせざるをえない。それは豊橋が「第二の豊嶋」になる日でもある。その第一歩を記した12月26日の陳情書の全文を、ここに公開する(太字は原文による)。


 

 

令和7年12月26日

豊橋市長長坂 尚登

陳情者:野積み廃プラから町民を守る会

野積み廃プラから町民を守る会会長

大岩町南丘自治会長令和6・7年度伊藤健一

青竹町自治会長令和6年度 原田利己

令和7年度 名倉道長

細谷校区自治会長令和6年度 村田久行

西山町自治会長令和6年度 夏目高文

令和7年度 村松孝祥

細谷町自治会長令和7年度 白井喜久

二川南校区自治会長令和6・7年度安村信弘

二川町南町自治会長令和6年度 中川亨

令和7年度 伊藤啓子

大岩町南2区自治会長 令和7年度 岸川健二

 

「株式会社MARUKOによる「有価物」名目の廃棄物野積み問題に関する陳情書」

 

1.陳情趣旨

豊橋市内各地において、株式会社MARUKO(以下「MARUKO」という)および関連会社3社、株式会社コーセツ(以下「コーセツ」)、株式会社光克(以下「光克」)、株式会社SHINKA(以下「SHINKA」)が関わり、「有価物」と称する廃棄物、主に廃プラスチック類等が、長年にわたり屋外で野積み状態で放置されています。しかし、情報公開請求の結果、これらを有価物と認定した記録や根拠資料は市側に存在していないことが明らかになりました。また、これらの廃棄物が劣化し、周辺環境や安全に重大なリスクを及ぼしているにもかかわらず、市の対応は極めて不十分であり、市民の不安は高まる一方です。

さらに、新聞報道にもありましたが、令和7年11月22日夜には、MARUKOの弥栄工場において火災が発生しました。これは、市民や専門家が以前から繰り返し指摘してきた「野積みによる火災リスク」が現実化したものと受け止めています。同時期には茨城県坂東市、愛知県名古屋市でも大量の廃プラスチック類等による火災が発生しており、事態は急を要するものと考えます。

野積み廃プラから町民を守る会より、令和7年4月19日付で豊橋市長宛に「株式会社MARUKO(関連企業含む)による、豊橋市豊栄町・西山町・青竹町・石巻町・二川南町に放置されている有価物についての見解確認書」を送付し、令和7年5月9日付で回答を受領しております。つまり、市長を含め豊橋市は既に本件の実態を把握しておられます。しかし、この回答に記載された内容は、その後に確認された実態と整合性がなく、改善や事態の進展、問題解決に向けた市の具体的な動きも全く見られませんでした。

こうした状況から、私たちはやむを得ず、豊橋市として適切な行政対応を強く求めるため、陳情書という正式な手段を取るに至りました。つきましては、豊橋市として本問題を真摯に受け止め、市長のご決断のもと、実態調査と情報公開、ならびに廃棄物処理法等に基づく適切な行政措置を講じていただきたく、下記のとおり陳情いたします。

 

2.有価物認定をめぐる不透明性

当初、市の説明によれば、MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)の置き場に積み上げられた物は「有価物」であり廃棄物には該当しないとのことでした。しかし、情報公開請求を行ったところ、有価物と判断した際の内部記録、審査資料、根拠となる文書は存在しないとの回答であり、「事業者が有価物であるとの主張を否定できない」との議会答弁に至った判断のプロセスは非常に不適切かつ不透明です。この実態は豊橋市として本事案に対する住民の要望に対し、真摯に向き合っていないことを裏付ける証拠だと考えております。青竹町などでは、長期間放置された後に一部が産業廃棄物として処理された経緯がありますが、

・いつ、どの時点で「有価物」から「廃棄物」へ評価を改めたのか

・その量や判断根拠

について、住民側には一切説明されていません。専門家からは、「時間の経過とともに有価物は劣化し廃棄物に変わるので、過去に有価物であったという理由だけで現在も有価物とすることは不適切」との指摘がなされています。事業者であるMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)が有価物と説明をしたことを理由として、市は廃棄物に関連する法律に準拠した行政指導を行うことを拒否しておりますが、事業者は既に廃棄物として外部搬出を行っているとの情報も受けており、MARUKO自らが述べてきた原料や燃料としての有価物は、もはや有価物としての評価が出来ない状態であることをと認めた証拠であると言えます。

サイコロ(梱包体)に近寄ると、長年の放置でボロ隠しのビニールが剝がれ
中身が見えるが、どうみても油化できないような廃プラでないゴミばかり

 

3.「有価物」野積みの実態と市民生活への影響

MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)関連と見られる廃棄物は、豊栄町、青竹町、西山町、石巻町、二川南町、原町など市内複数箇所に山のように野積みされており、その量は2025年6月時点で24000トンに達すると行政より報告を受けております。

これらは屋外で雨ざらしとなり、

・悪臭、飛散、流出

・景観の著しい悪化

・浸出水による土壌・水質汚濁のおそれ

・偶発的、人為的な発火・火災リスク

を抱え続けています。油化装置の施設が稼働していない現状では、本来であれば減っていくはずの廃棄物が、市内の他の場所に移されているだけの、その場しのぎ対応に過ぎず、実際は刻々と野積みされる量が増加しているのではないかという強い疑念が、市民・専門家の間で共有されています。こうした状況の中で、周辺住民は日々不安を抱えながら生活しており、「豊橋市はMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)と癒着し、問題を見なかった事にしているのではないか」という行政の本事案に対する向き合い方や認識に対する強い不信感が広がっています。

 

4.油化装置計画の実現性への疑義と企業姿勢の不透明さ

MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)は「油化装置の設置・稼働により処理する」と説明してきましたが、当初の稼働予定時期から繰り返し延期され、現時点でも確実な見通しが示されていません。豊橋技術科学大学の専門家に資料を提示したところ、分別されていない雑多な廃棄物をそのまま油化することは技術的にほぼ不可能であること。たとえ油化できたとしても、「ドラム缶1本分の油を使って数ccの油を作るようなもの」であり、事業としての採算性がまったく見込めないことが指摘されています。行政は、この油化装置について事業計画書や設計図、エネルギー収支の試算などを十分に確認している形跡がなく、その妥当性を検証したのかどうかも不明です。視察の場面では、あらかじめ用意した油を「装置から出てきた油」であるかのように見せることも技術的には容易であり、専門家を伴わない視察では真の性能を確認できないとの懸念も出されています。油化計画の不透明さに加え、MARUKO(光克)による事業運営全般においても、以下のように企業としての法令遵守・説明責任の姿勢に重大な懸念があります。

 

(1)長年にわたり「有価物」を管理せず、結果として廃棄物化させている実態
市内各所に大量に野積みされた物質について、MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)は「有価物」であると主張していますが、実際には長期間(最大で5年)にわたり適切な管理を行わず、雨ざらしの状態で放置し火災予防条例に必要な届け出もされていない事実があります。本来、有価物であれば品質管理・選別・出荷管理が必須であり、価値低下を防ぐための保管管理が前提となりますが、そのような管理は一切行われていません。

この間、物質は劣化し、専門家の指摘のとおり、実質的には完全に廃棄物へと変質しています。それにもかかわらず、事業者が「有価物である」と主張し続けている点は、企業としての説明責任を著しく欠く極めて不適切な態度であると言わざるを得ません。

さらに問題なのは、管理者である豊橋市もこの実態を把握しながら、今日まで放置してきたという点です。住民側はこれまで、豊橋市に対しマニフェスト制度の趣旨に照らし合わせ、次の点を再三再四、求め続けてきました。

・排出事業者の特定(誰が・いつ・何の廃棄物を・どれだけの量を有価物としたのか)
・マニフェスト(産業廃棄物管理票)の記載内容の確認
・産業廃棄物処理に関わる事業場に備え付けられた帳簿の確認
・有価物であるとするなら、どのような流通性・市場性の根拠があるのか
・有価物として適切な取り扱い(品質維持・保管管理)が行われているかの確認
・保管数量・内訳・移動履歴の行政による把握

これらは、廃棄物処理法の基本原則(排出事業者責任・管理責任)や、マニフェスト制度の趣旨(廃棄物の流れを追跡し、適正処理を担保する)に照らしても、行政として即座に行える最低限かつ基本の確認事項です。しかし、豊橋市はこれらの要請に対し、排出事業者の特定も行わず、マニフェストの確認すら行わないといった対応を続けています。マニフェスの保管期限は法令で5年間となっており、本事案の発生から遡れば、排出事業者の確認、責任追求が困難になる恐れが強くあります。敢えて、期限切れを狙っているかのような豊橋市の対応は、行政監督義務を果たしていないと言わざるを得ません。

これは、廃棄物処理法第12条(排出事業者の責務)や、適正処理確保のためのマニフェスト制度の趣旨、さらには地方自治体の監督義務に照らしても重大な逸脱行為であり、行政の不作為として極めて問題があります。豊橋市はMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)による「有価物であるとの主張」を鵜呑みにし、監督すべき最も基本的な義務を放棄しています。豊橋市は、「有価物」という名目を盾に、行政監督の最も基本的な義務を回避し続けてきたと言わざるを得ず、その結果として市内各所に24000トンに渡る廃棄物の野積みを容認し、今日の深刻な環境リスク、災害リスクを生み出し続けています。

 

(2)市民病院の医療廃棄物処理契約の不履行と、問題のある再委託措置
MARUKOが運営する弥栄工場は、市民病院から排出される医療廃棄物の焼却処理を受託していましたが、工場の許可廃止届けにより処理継続が不可能になりました。そのため実質的に契約不履行の状況となっており、本来であれば再入札が必要にも関わらず、落札業者が別の業者に処理を委託するという「再委託」が実施されております。これは通常の入札および契約履行手続きとして極めて不自然で、排出事業者としての市民病院の法的責任を曖昧にする危険な行為です。適正処理義務の観点からも、企業としての責任感の欠如を示すものです。

 

(3)二川南の土地取引における、法令に抵触するおそれがある不明朗な取引実態
MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)が占有する二川南の土地について、売買契約後も登記が行われていないまま占有が続いているという報告があります。中間省略登記(いわゆる「飛ばし」)は現在禁止されており、売買契約後に登記を移転しないこと自体、債務不履行や法令抵触の可能性が高い極めて異常な状態です。さらに、売主が不動産業者から「問題を表沙汰にすれば契約を破棄する」との圧力を受けているとの情報もあり、取引に関する透明性が著しく欠如しています。以上のように、MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)は

・油化装置計画の実現性について計画の見通しが示せず
・「有価物」と称しながら適正管理を行わず廃棄物化させている
・市民病院の医療廃棄物処理契約を履行せず、問題のある再委託を生じさせている
・二川南の土地取引において、法令抵触の疑いがある不透明な手続きを行っている

といった複数の側面から、企業としてのコンプライアンス、説明責任、リスク管理の姿勢に重大な問題があると考えざるを得ず、安易にMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)が説明する「有価物」という言葉を行政が信用することは大きなリスクが伴うのではないかと考えております。

 

5.行政の対応姿勢と「不作為」への懸念

市は議会答弁において「定期的な見回りを行う」と説明してきましたが、実際には苦情がない限り現地確認を行っていないことが、情報公開資料等から明らかになっています。形式的・表面的な姿勢が続いており、市民の生活環境や安全確保よりも、事業者側の説明に沿った対応を優先しているように見受けられます。住民から問題行為の通報があった際にも、現場を管轄する消防や廃棄物対策課が現地状況を十分に把握しておらず、

MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)による不適切行為が終わってから現地に確認に行く」

「問題ないと報告を受けている」

など、あたかも現行犯を避けているかのような不自然な対応が繰り返されてきました。さらに、新たな積置が確認された原町の事案では、住民が通報の際に詳細な場所を説明し、担当者が「わかります、分かります」と返答したにもかかわらず、東細谷町の原町リサイクルセンターへ向かい確認ができなかったと報告されています。その後も担当者は

・こちら側が再度働きかけるまで現地の再確認を行わない

・「地図や住所をもらっていないから確認できない」

と、住民に責任を転嫁し開き直るような発言をするなど、市民の通報や危機感を軽視する姿勢が顕著です。こうした問題は単なる担当者のミスにとどまらず、以下の3点から行政組織としての深刻な不作為と制度的欠陥を浮き彫りにしています。

 

(1)行政の不作為に関する法的問題(自治体の注意義務・過失)

地方自治体は、市民の生命・身体・財産を守るため、危険を認識し得る状況下では適切な注意義務を尽くす法的責任を負っています(地方自治法上の行政責任、国家賠償法2条等)。本件では、

・大量の劣化プラスチックが野積されている事実

・市民からの通報が継続して寄せられていること

・火災など重大事故の危険性が専門家からも指摘されてきたこと

などから、行政は十分に危険を認識し得たにもかかわらず、必要な措置を怠った(不作為)疑いが強い状況です。これは、自治体の注意義務違反として重大な問題であり、今後同種事案が発生した場合、行政側の法的責任が問われる可能性が高いと考えます。

 

(2)議会答弁の不整合性(答弁内容と実際の行動の齟齬)

議会答弁において、市は「定期的な見回りを行っている」と説明してきましたが、情報公開請求で得られた資料や住民の通報対応の実態と照らすと、答弁内容と行政の実際の行為に明らかな齟齬が認められます。行政機関が議会に対して説明責任を果たさないことは、民主的統制機能を損なうだけでなく、議会軽視・市民軽視と受け取られても仕方のない重大な問題です。議会答弁と実際の運用が一致していない状態は、行政の信頼性の根幹を揺るがすものであり、是正が急務であると考えます。

 

(3)市民からの通報に対する対応の不手際

市民からMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)の不適切行為について通報があった際、行政は本来であれば、直ちに現場へ赴き、事実確認を行うべき立場にあります。しかし、実際には、市の担当者は通報を受けるとまず事業者であるMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)に連絡した上で状況確認を実施するという、極めて不適切な手続を繰り返しています。その結果、事業者側は「現在、搬出作業中で忙しいので、落ち着くまで待ってほしい」などと回答し、行政はそれを了承したうえで、問題行為が解消された“後”に現地確認を行うという非常に不自然な対応を続けています。このような対応は、通報制度の趣旨、すなわち、住民の安全確保と、違法行為や不適切行為の早期発見・是正という本来の目的と完全に矛盾しており、行政の態度として到底許容できるものではありません。このような形だけの対応は、本件に対する重大な誤解・誤判断を引き起こすものであり、行政運営上の重大な瑕疵に該当します。

市民からは、

「なぜ豊橋市は、違法行為をしている可能性のあるMARUKOに事前に連絡するのか」
「片付けの時間を与える対応は、MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)と癒着し、企業を守っているようにしか見えない」
という強い不信の声があがっています。

 

(4)焼却炉の不調と豊橋市の管理監督責任

MARUKOが運営してきた弥栄工場の焼却炉については、老朽化が著しく煙突から黒煙が立ち上るなど、通常では考えられない異常な運転状況が繰り返されてきました。しかし、情報公開請求により、豊橋市の対応には以下の重大な不手際・不透明性が存在することが明らかになっています。

MARUKOの焼却炉は令和2年、豊橋市の測定でダイオキシン基準値を超過し、使用停止命令を受けているという重大な行政処分歴があります。通常、このような「危険性のある設備の再稼働」には、厳重な審査・確認・改善措置が義務付けられますが、市がその後どのような検証を行い、どう安全性を判断したのかは明らかにされていません。

情報公開資料によれば、令和6年12月頃には、MARUKOの焼却炉が不調であることを豊橋市は把握しています。市は「継続的に改善指導を行っていた」と記載していますが、その具体的な内容・根拠・実施記録は開示されておらず、指導の実効性が強く疑われます。焼却炉は環境負荷が大きく、運転方法について厳格な法令基準が定められている設備です。ダイオキシン基準値を超過した過去のある焼却炉であるにも関わらず、「不調を把握していたのに運転を容認していた」という事実は、行政監督上きわめて重大な問題です。

加えて令和7年には「毎日のように黒煙」が上がり、住民からは、健康被害を懸念する通報が繰り返し豊橋市に寄せられています。法令基準に沿った適切な維持管理がなされている焼却炉は黒煙が上がることなどあり得ません。本来はこの時点で焼却炉の運転を即座に停止させ、適切な設備更新・改善を行わせるのが許可権者としての責務です。それにもかかわらず、焼却炉が不調であることを認識しながら、通報者に一切の説明を行わず、そのまま施設稼働の継続を容認していた事実が情報公開により明らかになりました。その後、令和7年8月には、MARUKOから焼却炉の不調により稼働継続が困難であることが豊橋市に相談されていたことも明らかになっています。豊橋市は約8ヶ月間に渡り、MARUKOの焼却炉が不調である実態を認識しながら運転継続を黙認し続け、住民からの通報に対し事実を知らせないなど、極めて不誠実な対応をしていた事が判明しております。この判断や対応は行政監督の観点から到底容認できません。これは「事実の隠蔽」であり、住民の信頼を著しく損なうものです。豊橋市は事業者を守る行動を一貫して取り続けており、もはや監督権限を放棄し癒着と疑われても仕方がない状況であると言わざるを得ません。豊橋市は市民の生命・健康・環境を守る義務がある立場であるにもかかわらず、実態として、

・事業者の違法性を軽視した対応を行う

・危険な設備の運転を黙認する

・通報者に事実を伏せる

・結果として事業者の利益を優先した

と言える状況であり、これは行政の本来の役割と真逆の対応を取り続けています。

 

5)担当者の頻繁な異動による継続性の欠如と、住民軽視の姿勢

窓口となる行政側の担当者が、1年単位で異動となる状態が繰り返されており住民が長年にわたり訴え続けてきた本件が、市役所内部で「たらい回し」にされているのが実態です。その結果として、継続的な情報の引き継ぎ、問題に対する理解、対応方針の一貫性が著しく欠如しています

加えて新たに着任した担当者からは、事あるごとに

「過去に行政が判断した内容は追及しないでほしい」

「これからのことはきちんと対応しますので」

と繰り返し言われてきました。しかし、このような言葉が担当者の口から発せられること自体、過去の行政判断に誤りがあったことを暗に認めている証拠であり、市民への説明責任よりも、行政組織としての保身を優先していると受け取らざるを得ません。住民が求めているのは、担当者間の責任回避などではなく、一貫した行政対応と、事実に基づく誠実な説明です。これは単なる担当者レベルの問題にとどまらず、

・行政組織として内部情報共有が機能していない

・問題が長期化・悪化しているにもかかわらず対策が講じられていない

・市民の安全確保より行政組織の都合を優先している

という、構造的かつ深刻な行政運営上の欠陥を示しています。

豊橋市が「ごみゼロ運動発祥の地」であるにもかかわらず、このような姿勢を続けることは、理念との矛盾だけでなく、将来的な重大事件の発生につながりかねません。香川県豊島、千葉県香取市・成田市などの前例では、行政の不作為が長年の環境被害、莫大な税負担、市民の健康被害を招きました。また、行政が安易に事業者の「有価物である」との主張を受け入れ続けた結果、最終的に県民・市民の税金で巨額の処理費用を負担する事態となった前例でもあります。市民の間では
「豊橋市は他県からも有価物という名の廃棄物のごみ捨て場になるのではないか」

「豊橋市はMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)の説明を鵜呑みにし、住民の説明を無視しているのではないか」

「豊橋市はMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)と癒着しているのではないか」
といった行政に対する強い不信感が生じています。

 

6.弥栄工場火災事故の発生とリスク顕在化

令和7年11月22日夜、弥栄工場において火災事故が発生しました。同工場では、つい先日まで管理体制が杜撰な焼却炉を稼働させ続け、煙突から黒煙を上げたまま操業を続けるなど法令を遵守しない問題行動が散見されています。市民や専門家は、長年にわたり「野積みされた廃棄物の劣化による自然発火・火災の危険性」を指摘してきましたが、今回の火災は、まさにその懸念が現実のものとなった事案だと受け止めています。

さらに、令和7年11月29日未明にも再度火災事故が発生。消防本部(南消防署)によると、出火場所は22日出火場所付近とのことでした。

MARUKOは令和4年2月にも冨士見リサイクルセンターで火災事故を発生させており、過去の火災事故の経験が企業として有効に活かされているとは言い難い状況です。加えて2023年8月には同センターで作業員の死亡事故が発生するなど、そもそも企業運営の根幹である安全管理に対し著しい能力の欠如が見られます。以上の点から、この火災事故を一過性の事件として処理するのではなく、これまでの行政対応で何が不足していたのか、どのような構造的問題があったのかを市長自ら検証し、再発防止策に結びつけることが不可欠です。

 

7.豊橋市に求める具体的な対応

以上の状況を踏まえ、豊橋市長におかれましては、次の8点の事項を早急に実施されるよう強く要望いたします。

 

①野積みされた有価物および廃棄物の完全撤去と現状回復計画の明確化

豊橋市は、MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)に対し、市内すべての置き場に野積みされている有価物および廃棄物を、完全に撤去し、現状回復を行うことを義務付けるよう強く求めます。併せて、行政主導で以下の点を明確化することを要請します。

▼ 完全撤去の対象範囲

・豊栄町、青竹町、西山町、石巻町、二川南町、原町ほか市内全地点

・劣化し廃棄物化したプラスチック類・木くず・混合廃棄物など全品目

▼ 完全撤去および現状回復の期限

・可及的速やかに着手し、市民に対して完了予定時期を明示すること

・長期化を防ぐため、中間進捗を四半期ごとに公表すること

▼撤去方法・処理方法の透明化

・廃棄物処理法に適合した処理ルートの提示

・排出事業者・委託先・再委託先の明確化

・不透明な移動・名義変更・再委託の禁止

・撤去後の地盤調査(汚染・浸出水など)の実施と報告書提出

▼市による監督と履行確保

・定期立入検査を制度化

・撤去未履行時の行政処分(改善命令、措置命令)の適用

・行政代執行の検討とMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)への費用請求

野積み撤去と現状回復が進まない限り、豊橋市の安全・環境・財政リスクは継続し、市民の不安も解消されません。行政が明確な期限と工程を示し、実効性ある対応を取ることが不可欠です。

 

②有価物認定の根拠の全面開示と第三者検証

豊橋市がMARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)関連の廃棄物を「有価物」として扱ってきた経緯・内部記録・判断資料を開示すること。必要に応じて、大学等の第三者専門家を交えた検証の場を設けること。

 

③市内各置き場の実態調査と廃棄物性の再評価

豊栄町、青竹町、西山町、石巻町、二川南町、原町など市内の全ての置き場について、現在の量・性状・経年劣化状況を調査すること。5年近く放置されている廃プラスチック類も含め、現時点での廃棄物該当性を専門家とともに再評価すること。

 

④廃棄物処理法・消防法等に基づく適切な指導・措置

廃棄物該当と判断されるものについては、廃棄物処理法・消防法等に基づき、基準の遵守・原状回復・適正処理を事業者および排出事業者に義務付けること。必要に応じて、改善命令等の行政処分も検討すること。

 

⑤油化装置計画の技術的・経済的妥当性の検証と説明責任

MARUKOから事業計画書・設計図・エネルギー収支の資料提出を求め、独立した専門家による実現可能性の検証を行うこと。その結果を市民に対しわかりやすく説明し、不合理な計画に依存したまま野積みを正当化することがないようにすること。

 

⑥弥栄工場火災の原因究明と再発防止策

火災原因の徹底調査と結果の公表を行うこと。同様の火災が市内他所で発生しないよう、野積みの方法・設備管理に関する市全体の安全基準を強化すること。

 

⑦市長による方針表明と市民への説明

上記の調査・検証結果を踏まえ、豊橋市としてMARUKO問題にどう向き合うのか、市長自ら方針を示すこと。議会や説明会等を通じて、市民が安心できる形で丁寧な説明を行うこと。

 

⑧事業者による公開説明会の開催を行政が指導・義務付けること

MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)に対し、次の要件を満たした公開説明会を開催するよう豊橋市が指導・義務付けること。

▼対象:周辺住民、地元自治会、専門家、議会、市担当部署

▼内容:有価物と主張する根拠
置き場の数量・内訳・移動履歴

劣化状況と安全対策

火災のリスク管理と再発防止策

油化装置計画の詳細(設計図・処理能力・稼働実績)

▼条件:行政担当者の同席

専門家(大学・第三者機関・弁護士)の立会い

住民からの質問に対する説明責任の履行(時間制限は設けないこと)

記録の公開(議事録・動画等)

 

8.結び

本件は、もはや一企業と行政との問題にとどまらず、豊橋市の環境行政・地域安全保障の根幹に関わる重大な問題です。このまま事態を放置すれば、豊橋市は行政自らが作り上げた悪しき前例により「有価物と称した産業廃棄物の行き場」と化し、その後始末を最終的に市民の税金で賄わざるを得ない事態に陥るおそれがあります。また、現状の行政対応は、日本国憲法第13条(幸福追求権・生命・自由・幸福追求に対する国民の権利)および第25条(生存権)に掲げられた、市民の生命・身体・財産を守るという根本的義務を行政自らが放棄しているに等しく、深い失望と強い危機感を覚えます。特に、長年にわたり大規模火災などの重大事故の危険性が予見可能であったにもかかわらず、適切な措置を講じてこなかったことは、行政の責任が後日問われる可能性が非常に高いことを、あらためて申し添えます。加えて、当該業者は、問題解決を求める地域住民の会に対し、裁判の提起や損害賠償請求、さらには謝罪を強要するなど、不当な圧力行為を行っています。こうした住民への威圧・萎縮を目的とした行為は、地域社会の健全性を著しく損なうだけでなく、市民が自由に意見を述べ、安全を求める権利すら脅かすものであり、断じて看過できません。

 

市長ご自身の「所信表明」の言葉を胸に行動していただきたい

市長は、令和6年12月市議会定例会における所信表明で、次のように述べられています。

「市民の選択をしっかりと市政に反映させていく。自分たちのまちの未来を自分たちで決められる、そのようなまちづくりを進めていきたいと考えております。そのためにも、『市の不正・偽装への厳しい対応』をお約束し、市民にとって開かれた行政運営となるよう努めます。市民の皆様の期待と信頼に応えられるよう、全力で取り組む所存です。」

これは、市長としての強い覚悟と、行政の透明性・公正性に対する明確な約束であり、私たち市民はこの言葉に深い期待を寄せております。しかし、MARUKO(コーセツ、光克、SHINKA)問題に関する現在の行政対応は、
 

「市の不正・偽装への厳しい対応」
 

という市長ご自身の約束と明確に矛盾していると感じざるを得ません。今、市長に求められているのは、まさに所信表明で述べられた、

・市民の声を市政に反映する姿勢

・不正・偽装に対する厳正な対応

・開かれた行政運営

・市民の期待と信頼に応える行動

この4点を一つひとつ、実際の対応として示すことです。私たちは、市長が本陳情の趣旨を真摯に受け止められ、所信表明で述べられた「約束」を裏切ることなく、市民の期待に応え、市民の生命・身体・財産を守るために必要な措置を速やかに講じられるものと強く期待いたします。

 

以上、陳情いたします。