嘘だらけAbalanceの否定リリース
           「愛」の字が入った戦国武将、直江兼続の奇抜な兜に倣って、Abalanceに「愛」をこめて反駁する

集中連載 2

嘘だらけAbalanceの否定リリース

集中連載第1回では、太陽光発電システムを手がけるAbalanceには不自然な出入金があり、これに循環取引や売上高の水増し計上の疑いがあると書き、かねて記事内容を巡って火花を散らしてきた筆者との間で、やがて最終戦争が始まるとも書いた。筆者とAbalanceの「関ヶ原」と言い換えてもいい。そこで1600年(慶長5年)に上杉景勝の家老である直江兼続が、徳川家康に送った書簡「直江状」に倣って、一筆啓上つかまつろう。

世に名高い「直江状」は、家康をからかったり皮肉ったりする内容で、上洛して逆心のないことを示せと迫る家康を激怒させ、関ヶ原の戦いのきっかけになったとされています。写真のように直江兼続の兜の前立ては、愛宕権現の「愛」の文字をあしらった大胆奇抜な意匠ですが、最終戦争を前に筆者も愛をこめて「ストイカ状」を差し上げよう。

TDnetを迂回したリリース

5月30日のニュースリリースを拝見、多幸々々。

我が年来の“恋人”Abalance及びその経営陣の皆様におかれましては、拙稿によって下げ止まらなくなった株価に慌てふためき、ウソしか書かれていないニュースリリースを発せられました。

1年前の10分の1に下げたAbalance株価(東証スタンダード市場、24年6月10日現在)​​​​​​

「筆者の取材を受けていない」だの「反社会的勢力とのつながりはない」だの、「そうしたつながりが外部の第三者〔「裁判所」となぜか書かない=山口注〕によって事実認定されたことはない」だの、Abalanceの実情を知る人々の間では「記事がアップロードされてから1日半もかけて出したリリースがあれなの?」と失笑の的になっています。反論とも呼べない、小学生の口げんかレベルの内容だったので、致し方ありません。

しかも東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で発信したのではなく、自社のHP上で発信しただけ。TDnetを使った場合、内容が不十分だったり、曖昧だったりすれば東証から書き直しを命じられることもありますから、それを避けたのでしょう。御社の苦衷、お察し申し上げます。

御社のウソにまともに張り合うのもバカバカしい限りですが、行き掛かり上、致し方ありません。Abalanceの個人株主はストイカに続報が載るのを待っています。大人げないことながら、満座の投資家を前に言い訳のしようがないほどはっきりとした物証を挙げてウソを暴いて見せましょう。Abalanceの恋人として、御社がニュースリリースでこれ以上無様な真似をしなくてもいいよう、切れ味鋭くスパッと片付けて進ぜる。

論よりまずは物証です。2018年12月5日に東京高裁民事部で言い渡された損害賠償請求訴訟の判決文を挙げればいいでしょう。

龍潤生取締役と大株主の厳平(厳平四郎)氏の二人によって、詐欺的な手法で会社(Abalanceの前身であるリアルコム)を乗っ取られて放逐された谷本肇元社長が、この問題を外部に相談。それがもとで損失を被ったとして、AbalanceとWWBなどが谷本氏を相手取って起こした件です。

反社つながりを高裁が認定

当初、東京地裁で始まったこの裁判は、2018年4月の一審判決でリアルコム側の訴えが退けられる一方、被告の谷本氏に対しては責任が認められず、損害賠償も命じられることなく、それどころか同氏に対する100万円の支払いが命じられました。リアルコム側と谷本氏の双方がこれを不服として東京高裁に控訴しましたね。 

一審、二審とも争点の一つになったのは、筆者が月刊ファクタとダイヤモンド・オンラインで書いた「リアルコムには反社会的勢力とのつながりがある」との記事内容が事実であるか――だったことは覚えておられるでしょう。

龍氏らが率いるWWBは、沖縄で合弁会社を立ち上げる際にある人物とFAXをやり取りしており、そこには広域暴力団に指定されている組織の構成員の名前とその筆跡が残っていました。反社チェックを専門に手掛ける調査会社でさえ、リアルコムから依頼を受けた当初「この人物は危険すぎるので、調査依頼は勘弁してほしい」と尻込みしたほどの人物でした。

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