「田中」日大の政官共犯者 【1】
松野官房長官「黒塗り」の足跡
日本大学の前理事長、田中英寿(75)は就任から13年間もこの日本最大の学校法人に君臨し続けた。利権を吸い上げる暗部を最初に報じたのは10年前、わが古巣の月刊誌2012年1月20日号だった。当局がなかなか動かず調査報道は孤立無援となり、名誉毀損訴訟4件は記事の真実相当性を認めてもらえなかったが、これでやっと見返すことができた。今まで田中が手付かずでいられたのは、浄化の効かない学校法人の内部ガバナンスに欠陥があったからだけではない。核心は、外から彼を守った政官および裁判所の「見て見ぬふり」にある。みんなグルで「怪物」を野放しにしたのだ。隠されているその恥部を暴こう。(敬称略)=約7000字
9月8日の家宅捜索以来、3カ月も沈黙したままだった日大が、12月10日ようやく記者会見を開いた。田中の理事長辞任で理事長を兼任する加藤直人学長は、①田中前理事長と永久に決別し、一切業務に関わることを許さず、役員報酬、退職金なども支給しない、②背任事件の舞台となった株式会社日本大学事業部は、精査のうえ清算も含め対応する、③外部有識者を中心に「日大再生会議」を組織し、日大の将来について3月末にも結論を出す――と宣言した。
事件の原因は、校友会と評議員会を通じて理事会を掌握、人事と予算の全権を握った田中理事長と本部の専横を許した日大の学内ガバナンスの不十分さにあったとしている。
だが、それは事の片面に過ぎない。問題は学外にある。
2012年以降のわれわれの調査報道や18年のアメフト反則事件など、徴候はいくらもあって、是正する機会があったはずなのに、政官がグルになってもみ消してきたのだ。9月の強制捜査以来、文科省はじめ政府は日大に対し再三真相究明と説明責任を果たすよう求めたが、そんな資格はもとから政治家にも官庁にもなかったのだ。
典型は松野博一官房長官だろう。
田中が東京地検特捜部に所得税法違反容疑で逮捕された11月29日、官房長官会見で「極めて遺憾だ。日大は自ら真相究明の調査を徹底的に行い、改善策の策定や説明責任を果たすことが必要だ」と述べ、文部科学省で事実関係を確認し、厳正に対応すると説明した。空々しい。まるで他人事である。だが、松野は清和会(現安倍派)所属のバリバリの文教族であり、文部科学副大臣、自由民主党文部科学部会長、文教制度調査会事務局長などを歴任。2016年8月、第3次安倍第2次改造内閣で文部科学・教育再生担当大臣で初入閣を遂げ、翌年8月まで1年間務めた。その1年間は、高等教育局長の天下り斡旋に端を発した官僚OBの大学再就職問題と、森友・加計への「忖度」疑惑に追いまくられた。
「前川次官おろし」の当事者
17年1月、松野は天下り斡旋問題に「誠に遺憾」と大臣訓示を出して厳正処分を行い、前川喜平事務次官を事実上更迭した。前川のほうから辞意を表明したことになっているが、実際には停職相当とする処分で追い詰め、依願退職にさせたと言っていい。
裏では菅義偉官房長官の懐刀として権勢を振るった和泉洋人首相補佐官が、新国立競技場の建設費膨張をきっかけに、出身の国土交通省にとって五輪施設の建設で邪魔な存在となった前川の排除を進言したとされ、官邸が画策する追い落とし工作に松野も加担したにすぎない。"官邸ポリス"が現職次官である前川を尾行、歌舞伎町の「出会い系バー」通いを突き止めるという、前代未聞の手法で弱みをつかんだことが読売新聞や週刊文春などのリーク報道で明らかになる。
松野はその後3月30日には、文科省人事課OBを仲介役とした天下り斡旋の実態を調査した最終報告で62件の国家公務員法違反があったと発表し、歴代次官8人を含む幹部37人に処分を下した。要するに、官邸主導で「面従腹背」の霞が関官僚を焙りだし、一掃する見せしめ的な「粛清」に踏み切った当事者である。
学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設認可問題でも、「これは総理のご意向」とする内部文書があったか否かが国会で問題になった。松野は省内調査で文書の存在は確認できなかったとつっぱね、追加調査は行わないという一線を崩さなかった。
これに対し前川前次官は会見を開き、「あったことをなかったことにはできない」と省内の共有フォルダに存在したと反論した。菅官房長官はこの文書を怪文書扱いにしたが、同年6月になって松野は前言を翻し、「前回調査の対象以外の共有フォルダから文書の存在が明らかとなった。大変申し訳なく、結果を真摯に受け止めている」と謝罪した。通常国会は予算案も通過、終盤になっていて「後の祭」である。
このため野党4党から不信任決議案を突きつけられ(与党の反対で否決)、みごとに安倍晋三首相と菅官房長官の"忠犬"として、自ら盾になって世間をミスリードし続けた結果といえる。今回の官房長官起用は、このときの忠勤の論功行賞ともみえてしまう。
日大事業部のBSとPL
だから、今度は知らぬとは言わせない。田中は山口組6代目、司忍組長とのツーショット写真(田中側は裁判などで偽造写真と主張)までメディアに流れたほか、住吉連合会会長だった福田清瞭と並んで映った写真も出てきたから、早くから日大理事長と組織暴力団の癒着が疑われていた。文教族の松野にとってこれが他人事であるはずはない。
特捜部の摘発で明らかになったように、日大の校舎や病院建設の利権をめぐって田中とその側近である井ノ口忠男容疑者(64)ラインがピンハネする装置だった株式会社日本大学事業部についても、すでに日大の内外で「ちゃんこたなか」を舞台とする建設業者の談合や、事業部取締役、井ノ口の露骨なキックバック要求は広く知られていたはずだ。警視庁内部でも田中周辺の内偵が進められており、耳ざとい文教族が日大に漂うキナ臭さに気づかなかったはずがない。
現に松野前任の馳浩文科相時代の16年4月1日付で、ある私立大学関係者が問題の日大事業部の貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)を含む行政文書の情報開示を、監督官庁である文科省の大臣官房総務課公文書監理室に申請している。
実はこの情報公開請求の対象は、日大事業部だけではなかった。行政のチェックが緩い私立大学が傘下に抱える子会社は、往々にして利権漁りの温床となるため、学校法人の出資比率が50%を超える東京の有名12私大の子会社に的を絞り、経理の基礎資料であるBSとPLの開示を文科省に求めたのである。
その子会社リストを以下列挙しよう。
【学校法人青山学院】
・株式会社アイビー・シー・エス
・ AGDマテリアル株式会社
・青山学院ヒューマン·イノベーションコンサルティング株式会社
【学校法人立教学院】
・株式会社立教企画
【学校法人明治大学】
・株式会社明大サポート
【学校法人法政大学】
・株式会社エイチ・ユー
・おれんじ・ふぉれすと株式会社
【学校法人日本大学]
・株式会社日本大学事業部
【学校法人東洋大学]
・株式会社キャンパスサービス
【学校法人駒澤大学】
・株式会社KUサポート
【学校法人早稲田大学】
・株式会社早稲田大学出版部
・早稲田大学グループホールディングス株式会社
・WASEDA SHIBUYA SENIOR HIGH SCHOOL IN SINGAPORE PTE. LTD.
・ WASEDA RESEARCH ASIA PTE. LTD.
・早稲田文教事業股份有限公司
・早稲田(北京)教育科技諮詢有限公司
【学校法人慶應義塾】
・株式会社慶應学術事業会
・慶應義塾大学出版会株式会社
残りは中央大学、専修大学、上智大学の学校法人だが、請求時点で文科省は当該行政文書を保有していなかったため開示対象から外れた。
チグハグな不開示通知
念のために言っておく。ここにある学校法人子会社のすべてが怪しいというのではないが、日大事業部のように実態が不透明なものが混じっており、そのBSとPLから子会社のビジネスが教育機関の使命を逸脱していないかどうか検証しようというのが公開請求の狙いだった。ところが、文科省は5月6日付で情報公開法9条2項に基づいて「不開示決定通知書」を交付して門前払いしたのである。
因みにこの9条2項とは「行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る行政文書を保有していないときを含む)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない」というもので、森友、加計疑惑で防戦一方だった安倍政権はこれを乱発して情報公開法を骨抜きにしてきた。
ところが、この請求者が6月4日付で学校法人同志社の子会社について同様の情報公開を請求したところ、7月6日付で一部不開示だが「開示決定通知書」が出たのである。偶然の手違いか、東京と京都で学校法人子会社の情報公開に差をつける合理的理由は見当たらない。請求者が7月初めに文科省私学助成課に電話でこの不一致を問い合わせると、応対に出た女性職員が「先の不開示決定書は変更される。新たに決定通知がいくのでしばらくお待ち願いたい」との返答があった。
だが、この「しばらく」が長かったのである。
文科省は決定通知をずるずる引き延ばした。情報公開法では原則30日の期限が定められているのに、松野が8月3日に大臣就任した後もあれこれ口実を設けて通知を遅らせた。8月中旬には「今月中か、来月末までには」、9月中旬には「9月第4週末までには決裁が通る見込みなので、その翌週の早い段階でお届けできる」(いずれも私学助成課の女性課員)と、まるでソバ屋の出前である。
早稲田の6子会社に忖度?
10月初めになっても届かない。10月7日付で同志社子会社の一部不開示に異議申立書を送ったところ、私学助成課の男性課員から「先の通知書には誤字があったので再送する」「異議申立書は審査請求書であるべきで書き直して再送せよ」などと重箱の隅をつつくような対応をされた。そこで申請者は逆に問いただした。では、東京の私大子会社の決定通知書は、法定期限がとうに過ぎているのに、なぜ来ないのか――と。
この職員は「できるだけ早く処理する」と答えただけ。11月初めにも電話で「11月第4週には送付できる」と回答したが、その後はまたもなしのツブテ。明らかに文科省内では情報開示を避けたい素振りが見え、請求を握りつぶそうとしていたかに見える。松野の出身校である早稲田の子会社が公開請求対象に6社も含まれているので、大臣に忖度したか、大臣自ら首を縦に振らず、蓋をしようとしたのではないか、と勘繰られても仕方がないだろう。
しかも天下り斡旋問題が内閣府再就職等監視委員会で表面化、それが前川おろしと連動して、文科省内は暗闘に明け暮れる。結局、1月20日に前川次官の辞任が決まり、業を煮やした申請者が1月27日付で文科省大臣官房総務課公文書監理室宛てに抗議文を送って、早く決定通知書を出せと督促した。
〔情報公開〕法10条は、開示請求を受けた行政庁に対して30日という期限を明示して、請求者に決定を通知することを義務づけています。それにも関わらず、貴省の対応は4月に行った請求に関して最終的な決定を出さないまま、10カ月近くもの長い時間を経過せしめています。30日以内の通知が叶わない場合にも、法は、書面による通知を求めていますが、これまで貴省からは口頭での延期要請しか受けていません。これは、法とそれがもととしている国民の「知る権利」(憲法21条)を軽視するものであると言わざるをえません。
事態は急転する。2月10日付で突然、「文部科学大臣松野博一」名義で、大きな大臣印を捺した「行政文書変更開示決定通知書」(本記事冒頭の画像)が届いた。
変更通知届いたが「海苔弁」
「不開示」だった9私大の子会社18社について変更開示するとの通知だ。ところが、中身はとんだ期待外れだった。日大事業部の損益計算書(PL)も貸借対照表(BS)も、べったりと黒塗りされた通称「海苔弁」の開示である。PLは最下段の当期純利益しか分からず、BSも流動・固定の資産と負債の総額くらいしか分からない。他の私大子会社の開示もこれと似たり寄ったりだった。
日本は強権独裁国家かと見まがうほど、徹底した情報管制である。松野および文科省に問う。ここまで隠さなければならないのは、よほど後ろめたいのか。黒塗りにした理由を変更開示決定通知書はこう述べている。
不開示とした部分とその理由
(1)貸借対照表について
株式会社KUサポート以外の貸借対照表に記載されている内容のうち、 会社計算規則の規定により貸借対照表の要旨に設けることとされている流動資産、固定資産、繰延資産、資産の合計、流動負債、 固定負債、 同規則第140 条第2項の規定による各引当金、負債の合計、株主資本(資本金、 資本剰余金(資本準備金及びその他資本剰余金を含む) 及び利益剰余金(利益準備金及びその他利益剰余金を含む)を含む)、評価·換算差額等、純資産の合計、負債及び純資産の合計並びに当期純損益金額の各項目以外の詳細な科目及び金額については、公にすることにより各会社の経営状態や経営戦略の詳細を示すこととなり、当該会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、法第5条第2号イに該当することから、不開示とします。
なお、WASEDA SHIBUYA SENIOR HIGH SCHOOL IN SINGAPORE PTE. LTD., WASEDA RESEARCH ASIA PTE. LTD.、早稲田文教事業股份有限公司及び早稲田 (北京) 教育科技諮詢有限公司は、日本の法律に基づいて設立された会社ではないため、会社法の規定による貸借対照表は作成されていませんが、会社法の規定による貸借対照表と同様の内容である計算書類が当省に対して提出されており、当該計算書類の上記の項目に相当する項目以外の詳細な科目及び金額については、上記と同様の理由により不開示とします。
(2) 損益計算書について
損益計算書については、会社計算規則第142条の規定により貸借対照表の要旨に付記しな ければならないとされている当期純損益金額と一致する同規則第94条の規定により損益計算書に表示することとされている当期純損益金額以外の詳細な科目及び金額については、公にすることにより各会社の経営状態や経営戦略の詳細を示すこととなり、当該会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、法第5条第2号イに該当することから、不開示とします。
なお、 WASEDA SHIBUYA SENIOR HIGH SCHOOL IN SINGAPORE PTE. LTD. 、 WASEDA RESEARCH ASIA PTE. LTD.、早稲田文教事業股有限公司及び早稲田(北京)教育科技諮胸有限公司は, 日本の法律に基づいて設立された会社ではないため、会社法の規定による損益計算書は作成されていませんが、会社法の規定による損益計算書と同様の内容である計算書類が当省に対して提出されており、当該計算書類の当期純損益金額に相当する項目以外の詳細な科目及び金額については、上記と同様の理由により不開示とします。
また、株式会社KUサポートの損益計算書については、公にされていない売上高及び売上 原価の詳細な科目及び金額、販売費及び一般管理費のうち寄付金以外の詳細な科目及び金額については、公にすることにより会社の経営状態や経営戦略の詳細を示すこととなり、当該 会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、 法第5条第2号イに該当することから、不開示とします。
不開示の理由として「公にすることにより各会社の経営状態や経営戦略の詳細を示すこととなり、当該会社の権利、 競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」というが、経理の細目を逐一開示しろと言っているのではない。BSとPLの最低限の項目だけなのに、この恥ずべき黒塗りを許した松野は、千載一遇のチャンスを逃した。「田中」日大の"共犯者"と言ってもいいくらいだ。
子会社野放しを隠蔽
子会社の実態が透けて見えるから、という屁理屈をこねるなら、見えない細目を透かし見るのが本質である企業のディスクロージャーなどはすべて成り立たない。私大には私学助成金という公費が投入されるのだから、子会社を含めた学校法人の経営の健全性をチェックするのは国民の当然の権利である。なのに、内訳が黒塗りでは健全であるかどうかの比較も何もできなくなってしまう。公開による"日光消毒"がないと、情報公開法第1条の「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」という法の目的が達せられない。
12月6日、岸田新政権にとって国会論戦の初陣にあたる臨時国会が始まった。野党には格好の追及材料を提供しよう。標的は政権の仕切り役を担う現官房長官の松野と、現文科大臣の末松信介である。ネタは日大事業部の情報開示を妨げたこの「黒塗り」通知書。すでに検察特捜部が事業部の経理文書を押収して、不正の証拠資料となる可能性もあり、文科省が頭隠して尻隠さずで踏ん張る理由は失われている。
むしろ公開して私大子会社の経理を"日光消毒"したほうが、事件再発防止の意味からも公益に資するはずだ。いっそ野党が国会で、全国の私大子会社のBSとPLを公表せよと迫ったらどうか。そこでまた黒塗りの海苔弁を出せば、学校法人腐敗の温床に蓋をしたとして、野党から不信任決議案を食らうかもしれない。文教行政には素人だという末松文科相にその勇気があるだろうか。
監督官庁たる文科省がちゃんと監視している証拠は残念ながらない。通知引き延ばしを図るなどあざとい手で情報開示法をサボタージュする姿勢を見ても、公僕の矜持を失った彼らに期待はできない。そもそも子会社の運営の健全性を検証する能力も財務知識もないはずで、私大の子会社ビジネスが事実上野放しなことを隠そうとしているとしか思えない。
松野大臣名義のこの通知文書は、不服があれば行政不服審査法、決定取り消しを求めるなら行政事件訴訟法に基づき、法定期限内に請求または訴訟を起こせ、と居丈高に告げている。どうせ勝てないよ、と言わんばかりだ。安倍政権、それに続く自民党政権の「よらしむべし、知らしむべからず」の隠蔽体質が、ここに端的に示されている。
松野の正体見たりである。加計の「総理のご意向」文書のミスリードと、まったく同じ構図がここに浮かびあがる。
政官グルで守られて増長
ここで蓋をしたことが、日大「田中王国」を増長させたと思わないのだろうか。現に逮捕された井ノ口容疑者にしても、大阪市の医療法人錦秀会の前理事長、藪本雅巳容疑者(61)にしても、手口は大雑把というか、あまりに無防備だった。キックバックの資金還流も、容易に足がつく名義だけのトンネル法人を使うなどずさんな迂回ルートで、予想された特捜の家宅捜索をよほど舐めていたのだろう。
現金で渡された札束を田中が自宅に帯封付きで保管していたことなども、かつて6000万円の所得税申告漏れで国税局にお灸を据えられたとは思えない脇の甘さである。大相撲のゴッツアン体質が身に沁みついていたというより、自民文教族とそれに拝跪する文科省の政官グルの構図を前提にしているからこそ、自分は必ず守られると信じていたに違いない。
松野の黒塗りの罪は重い。これによって、私大の子会社の健全性全般が疑われることになるからだ。不開示の子会社名を挙げられた早稲田などは痛くもないハラ(?)を探られることになる。
錦秀会の藪本容疑者は、加計学園の加計晃太郎理事長や、鉄鋼ビルの増岡聡一郎専務と並んで安倍元首相ともっとも親しい「アベトモ」の一人である。それは安倍昭恵夫人の実弟、松崎勲・森永商事社長が14年7月21日に安倍、藪本、増岡とともにゴルフを楽しんだ際に撮ったフェイスブックの投稿写真でも明らかである。なのに、藪本が井ノ口に払ったカネの見返りに何を得て、それが安倍元首相との関係にどう関連していたのかを、どのメディアも追わない。これもモリ・カケと同じく蓋をされているのだ。
日大「田中王国」には、ほかに政官共犯者がいるのか。それは次回以降で追うことにしよう。=つづく■
*内部情報募集チーム「ストイカ」はこの「『田中』日大の共犯者」シリーズを今後も続ける予定で、内部情報を募集しています。情報や資料を提供したい方は、パソコン画面では左のメニュー列、スマホ画面ではトップページ右肩の三本線をタップすると出るメニュー列から、「ご質問・内部通報」(Contact us)をクリックまたはタップして、「内部通報」の欄でお名前、メールアドレスを記入して内容を書きこんでください。追加取材するには連絡先が必要だからで、無記名の情報やご意見にはお答えできませんので、ご了承ください。