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シンワWISE 短期連載 【上】
イセ食品「疑惑の1日」と太陽光発電所
国内有数の美術品収集家、伊勢彦信氏のコレクションをめぐるイセ食品管財人との壮絶な戦いは、美術品取引の導管となる思惑だった東証スタンダード企業「シンワWISEホールディングス」の不適切会計処理と第二クーデターを誘発した。訴訟合戦から浮かぶのは、シンワの実質筆頭株主になった取締役が更生法申請直前に不動産譲渡を強行した「疑惑の一日」だ。昨年9月の第三者委員会報告が蓋をした現実とは――。(3月3日まで全文無料、以後は一部有料)
1月20日、シンワ・ワイズ・ホールディングス(以下、SWH)は、2025年5月期の第1四半期(24年6~8月分)の連結決算短信を遅ればせながら公表した。しかし同社監査法人であるUHY東京監査法人は同日、限定付結論を公表し、アート売買取引の売上高の一部である 881.8 万円(売上総利益 444.1 万円)の計上時期について「裏付けとなる十分な記録及び資料を会社から入手することができなかった」としている。
改善報告早々の決算短信に「留保」
ほとんど業績偽装に近い不適切な会計処理を続けてきたことに端を発して、SWHの倉田陽一郎代表取締役社長と子会社取締役が昨年11月に辞任し、2019年5月期から前期までの6年分の決算および決算短信を全面修正したうえ、昨年12月19日に東証に対し業務態勢などの改善報告書を提出したばかりである。いわば東証の要監視下の身でありながら、その1カ月後にやっと発表した第一四半期決算短信に、規模は別として早くも監査法人から〝留保〟をつけられたことになる。
今後、身を正してコンプライアンスやガバナンスを改善しますと、東証および株式市場にきれいごとを並べても、SWHの不祥事の根が断たれていないことを疑わしめる。このため昨年9月6日に第三者委員会(委員長は一番町綜合法律事務所の高橋直弁護士)が出した調査報告書にさかのぼり、その内容の適否を問うべき必要がある。因みにこの第三者委員会は日本弁護士連合会基準に則ったものとしているが、それが必ずしも調査の適正を保証するものでないことは、枚挙にいとまないほど事例がある。
高橋委員会の調査はフォレンジックなどの手法も用いて、関係者のメールや資料を検証、期越えの買い戻し条件付き取引を金融取引とせず、売上高に計上する処理を行っていたことを、取引された個々の作品ごとに詳細に追跡しているが、その発生原因(ガバナンス機能不全など)の解明となると、途端に歯切れが悪くなる。SWHをめぐる代表権争いの〝前史〟に十分踏み込んでいないのだ。
イセを「寄らば大樹」の誤算
2020年3月、SWHでクーデターが起きた。前年8月まで代表取締役だった中川健治氏の後任の羽佐田信治社長が臨時株主総会で敗れ、このとき倉田氏が取締役から代表取締役に昇格した。その代わりに「森のたまご」で知られたイセ食品グループのオーナーで国内有数の美術品コレクションを保有する伊勢彦信氏がSWH取締役会長、イセ食品取締役の秋元之浩氏が、平取締役に乗り込んできた。
倉田氏の狙いは、SWHの業績悪化を追及して代表権を握り、「イセ・コレクション」の伊勢氏を「寄らば大樹」に売り上げを拡大し、SWHの立て直しを図ろうとした、と業界関係者は見ている。この再建過程で太陽光発電事業やパーム椰子殻の販売など、美術とは無関係な事業にも手を広げ多角化した。SWHが連続赤字では上場維持が危うくなるため、買い戻し条件付き取引で売り上げを膨らまそうとしたのだろうか。
ところが、新型コロナウイルス感染症や長年の放漫経営でイセ食品の経営が悪化、22年3月に債権者の金融機関などが会社更生法を申請、イセと組んでSWHを立て直そうとした倉田氏の腹づもりは目算が狂った。伊勢氏本人は24年1月に破産手続き開始決定によりSWH取締役を退任したが、その子飼いの秋元氏は現在まで取締役を留任しているのみならず、彼が代表取締役を務めるリーテイルブランディング(以下、リーテイル社)が昨年12月24日時点でSWH株10.33%を保有(関東財務局大量保有報告書)、秋元氏個人名義の8.7%を合わせると、19.3%を実質支配する筆頭株主となった。この株買い集めは、どの時点から始まっていたのか。
あわやインサイダーを見逃し
第三者委員会報告には、同社取締役会が機能していない事象として、「第10章(2)イ(イ)」にこんな例が挙げられている。
外部機関Wから、2022年4月に取締役のn氏及び関連法人がSWHの株式を購入 した事実がインサイダー取引に抵触するおそれが高いとの指摘を受けた。そもそも、SWHの株式を取締役が購入する際には、取締役会規約に基づき、SWHに事前報告を行う必要がある。当該義務に違反し、インサイダー取引に抵触するおそれが高い取引を行ったことにつき、監査役会としては取締役としての重大な義務違反と捉え、第三者委員会を設置することにより調査すべきという決議を行った。しかしながら、監査役会の意に反し、SWHとしては、n氏の顧問弁護士による社内調査と社内処分だけで終えることで幕引きをしようとしていた。それを知った監査役会は、そのような内々の調査で終わらせるべき問題ではなく、第三者委員会を設置して徹底的に調査すべきであると提案した。結局のところ、第三者委員会は設置されず、n氏が行った株式取得の目的等は明らかとならないまま、n氏が有する新株予約権の一部を不行使にする等の、不十分かつ不適切な対応に終始することとなった。
この外部機関Wとは関東財務局とみられる。そして、SWHで関連法人を持つ取締役は一人だけであり、イセ食品破綻の時期も考えると、このn氏とは秋元氏だろうと推測できる。伊勢氏も秋元氏もイセ食品取締役としてイセ・グループの私的整理交渉が難航していることを知っていたはずであり、SWHとの提携はコレクションを売却または保全するいいツールになるという思惑があったのではないか。ところが、イセの更生法適用で管財人と対峙することになった結果、倉田氏との思惑違いが表面化した。不適切会計処理を奇貨として代表取締役を辞任させ、一時筆頭株主だった倉田氏からその座を奪取するという〝第二クーデター〟のシナリオに切り替わったとストイカ編集部は見ている。
それにしても、あわやインサイダーという重大事態を関東財務局に指摘されたという事実を知りながら、高橋委員会はそれを取締役会の機能不全の事例としか見ていない。なぜ監査役会の意見が無視されたのか。22年に第三者委員会を設置しなかった理由を徹底追及しないのは不思議と映る。
n氏の顧問弁護士がいわゆるヤメ検で、1年だけ東京地検特捜部検事を務め、証券取引等監視委員会に出向した経歴を持つので、それを忖度して深追いしたくなかったからか。高橋委員会のヒアリング対象11人、フォレンジック対象6人にn取締役は含まれていない。調査報告書はSWHの当時の対応を「不十分かつ不適切」と断じておきながら、最初からお目こぼしでは公平など期せるはずがない。結果として高橋委員会は、この「軒を借りて母屋」の提灯持ちを務めたことになる。
1対2544の法外な交換比率
ストイカ編集部は、倉田氏及び子会社取締役が行った期ズレの会計処理――すなわち期をまたぐ現先取引で売り上げを計上し、期越えで買い戻すのはバブル期によくあったきわどい手法で、6期もそれを見過ごした監査法人の責任も問うべきだと考えるので、その行為を弁護する気は毛頭ない。しかし第二クーデターを起こして彼らを追放した秋元氏側にも、重大な問題があったと考える。
ひとつは2021年9月9日におこなわれたSWHとイセ・グループの傘下、アイアート(伊勢彦信代表)との間の株式交換である。これによりアート事業ではライバルだったアイアートがSWHの100%子会社になったが、問題は株式交換比率にあった。非上場企業であるアイアートの普通株1株に対し、東証JASDAQスタンダードの上場企業であるSWH2544.5株が割り当てられるという圧倒的にイセ側に有利な条件で、伊勢彦信氏はSWH254万株を得て、一躍34%の大株主に躍り出た(SWHは220万株増資)。
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これに対し、SWH株4.82%を保有する当時の筆頭株主だった投資会社、サイブリッジ合同会社が、伊勢氏が債務保証をしたのかとか、イセ・コレクションの専売権の有無などを問う公開質問状を出した。が、株主総会ではすでに承認されており、伊勢氏個人との基本合意は「継続協議中」だから中身は言えない、と押し切られた。
もし市場が勝手に憶測していたのとは異なり、債務保証や専売権なしにこの交換比率を決めたのだとすれば、取締役会の善管注意義務違反が生じかねないほど法外な比率であり、筆頭株主の座を追われたサイブリッジが、すでに信用不安説が流れていたイセの丸抱えになるつもりか、とSWHに詰め寄ったのは無理もない。結局、このグレーゾーンが、倉田氏には仇となった。
倉田氏は投資会社、カタリスト・インベストメント・グループ(CIG)から資金を借り入れ、イセ破綻後に伊勢氏保有のSWH株を買い取る羽目になった。昨年3月4日には彦信氏保有のSWH株10.70%を1株631円で買い取り、倉田氏が14.78%の筆頭株主になったが、この直前の2月27日に彦信氏からSWH株7.0%がリーテイル社に移動している。倉田氏がCIGに借入金を代物弁済したため、昨年12月24日にCIGが14.11%で第1位、リーテイル社が10.33%で第2位の株主になったが、秋元氏個人名義分を加えれば19.3%の実質筆頭株主なことは、先に書いた通りだ。この間にサイブリッジは希釈化されたSWH株を手仕舞い、株主名簿から消えた。
イセ管財人らが起こした4訴訟
シナリオは完遂したかに見える。だが、まだ紆余曲折が待っていた。22年年初からイセ・グループが急速に追い詰められたからだ。伊勢彦信氏の長男、俊太郎氏も父との確執から銀行団側と歩調を合わせ、私的整理で何とか生き延びようと交渉を長引かせるイセ食品グループに、しびれを切らしたあおぞら銀行がついに22年3月11日に会社更生法を申請した。だが、その裏で秋元氏とリーテイル社と、〝母屋〟のはずのSWHで何が起きていたか。
2023年から24年にかけてイセ管財人の高井章光弁護士などが、東京地裁でリーテイル社などに対して次々と提訴した四つの民事訴訟によってそれが明るみに出た。
A) 東京地裁民事31部令和5年(ワ)2122号被告リーテイルブランディング
B) 東京地裁民事34部令和6年(ワ)349号 被告RIN TRUST〔A訴訟に併合〕
C)東京地裁民事18部令和6年(ワ)7242号被告リーテイルブランディング
D)東京地裁民事32部令和6年(ワ)7791号被告リーテイルブランディング
リーテイル社とはいかなる企業か。2000年8月に購買物流通支援などを目的に設立され、2019年に発電事業などが事業目的に追加され、2020年から秋元氏が代表取締役となり、20~21年に1年間だけ伊勢彦信氏が取締役を務めた。当初は伊藤忠商事の社内ベンチャー第一号という触れ込みだったとしても、この時点ではイセ・グループの一角、発電事業を担う関連会社としか見えない。
更生法前日の「火事場」譲渡
なぜならイセ・グループは石川県七尾に保有していた25ヘクタールの土地に、フランスのエネルギー大手、トタルとの共同出資で2017年に太陽光発電所を建設しているからだ。日本海の曇りがちな天候にもかかわらず、富山湾に突き出た土地に発電効率のいいパネル8万枚を敷いて、27MWの発電能力を持つという。23年7月から商用運転を開始したこの「七尾メガソーラー発電所」は、リーテイル社が七尾発電合同会社の運営を事実上任され(合同会社とリーテイル社の本店所在地は同じ)、敷地の登記上の地主もリーテイル社になっている。
ただし、リーテイルがイセから敷地などの権利を譲渡されたのは、更生法申請のぎりぎり前日、22年3月10日だった。上記訴訟の原告管財人側は、この譲渡が差し押さえ逃れの不正契約だと主張している。
最初に提訴されたA訴訟の訴状によると、私的整理の交渉をイセに依頼されていた山形康郎弁護士(関西法律特許事務所)が、秋元氏を含むイセ食品首脳陣に22年3月初旬から「あおぞらなどが個別回収の段階に入り、更生法を申請する可能性がある」と警告を発し、「Xデーは金曜である3月11日か18日」と予想していたという。つまり被告リーテイル社の秋元氏は更生法の申請日を予め想定して、資産逃避を前日に強行したと管財人は見たのだ。
弁護士は「絶対にダメ」と制止
予想Xデーの前日にあたる3月10日午後5時過ぎ、東京・有楽町の東京交通会館の地下会議室で、田中保成イセ食品社長らと秋元取締役、リーテイル社取締役常務執行役員の村上和範氏が、テーブルの前で向かい合っていた場面を山形弁護士が目撃している。23年8月18日に山形氏が裁判所に提出した陳述書にはこうある。
打ち合わせが終わった時、村上氏はおもむろにいくつかの契約書を机の上に置きました。私は契約書の中身を詳しくは見ていませんでしたが、不動産の売買契約書もあった記憶で、秋元氏がそれらの契約書に押印させようとしているのではないかと思いました。しかし私は明日にも会社更生の申立てが行われるかもしれない切迫した状況下で、このような契約書を締結してはいけないと思い、田中社長や森山(治)副社長に対して「このタイミングで何らかの合意書に押印する、ということは絶対にしてはいけない」と伝えました。その後私は交通会館8階にあるイセ食品の本社に戻りました。彦信氏が会長室にいたので、彦信氏と会長室で話をして本社を後にしました。
弁護士として当然の助言だったが、現実には契約書は押印され、3月17日付で移転登記がおこなわれ、3月23日には代金が口座に振り込まれた。山形氏の制止のあとに何が起きたのか。管理部門統括代行で人事・総務部長、才高一貢氏が22年6月16日に裁判所に提出した陳述書によると、契約書は八通あったという。
本件土地の譲渡は、イセ食品内の手続き(取締役会決議)を経ておらず、秋元氏がイセ食品に対する会社更生の申立ての話を聞いて、火事場泥棒的に契約書への押印を私たちに強要して、本件土地の所有権移転登記を行い、RB(リーテイルブランディング)の利益を確保しようとしたもので、到底許されるものではないと考えます。
「早く押印しろ」と怒鳴る
代表印を管理する事務方当事者の証言は、更生法申請に先んじての「火事場泥棒」だったと、はっきり秋元氏を指弾している。秋元氏はあおぞら銀行と直交渉をしようとしたが、にべもなく面談を断られて焦っていたらしい。イセ食品の田中社長はその後も、契約書への代表印押印を指示していないと関与を否定している。事務方が森山副社長に指示を仰ぐと、やむをえず押印するとしても、後日改めて機関決定して追認するという意向であったという。「財務部長が押印に躊躇していると、秋元氏が財務部長に対し『早く押せ』と怒鳴っていました」と緊迫した状況を伝えている。結局「秋元氏が彦信氏と非常に近しい方であったので、抵抗することはできませんでした」と判をついたという。
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才高陳述書にあるように、取締役会が承認決議したとの文書はなく、追認の取締役会が開かれたこともなく、稟議決裁による承認もなかったと、田中社長も森山副社長も口をそろえて否定している。移転登記の申請書類の代表者の一人は、イセ食品執行役員の福澤洋一名義になっているが、福澤氏本人もまったく与り知らなかったと述べている。このため管財人の高井弁護士は、会社更生法86条1-1の否認権を行使して、所有権移転登記抹消訴訟を起こしたのが第一弾のA訴訟である。
取締役会決議も稟議決裁もない
リーテイル社など被告側は、訴状に対する答弁書でこれらの証言を責任回避のためで事実に反していると主張している。契約書は3月1日の日付になっており、2月上旬から社内で譲渡が内定していたという。それがオーナー彦信氏の決定を意味するのかどうかは言及がない。ただ2021年から田中社長ら経営陣が、秋元取締役に運転資金のやりくりを相談するようになっており、それが七尾の譲渡契約書に具現したと言いたいようだ。
しかし才高陳述書では「私(才高氏)が令和4年2月上旬からRB(リーテイル社)による買取りについての交渉を行っていたと裁判で述べているようですが、そのような事実はありませんでした」とし、「本件土地を売却して資金化し、イセ食品の運転資金に充てるといった話はイセ食品経営陣からも、秋元氏や村上氏らRBからも全く聞いていません」と、被告側の主張と真っ向から対立している。
才高氏だけではない。もう一人のイセ食品取締役、石川達也氏が22年10月5日に裁判所に陳述書を提出して、七尾の譲渡計画が22年3月以前にはなかったと証言している。
イセ食品の取締役会で(七尾譲渡が)決議された事実はなく、また、私は稟議決裁にも一切関与していません。本件土地をRBに売却する話などこれまで全く聞いたことがありません。
金融機関向けリストにも記載なし
イセ・グループの中核、イセ株式会社の財務・経理部長、市野広康氏が22年6月16日に提出した陳述書によると、3月10日午後6時ころ、リーテイル社の村上氏から携帯に電話があり、「七尾の土地に地上権を設定するから、登記識別情報を至急送れ。11日必着で」との指示があった。市野氏は「土地の移転登記とは知らなかった」としており、原告側の証言や陳述書を裏付けている。
さらに物証もある。22年1月22日に作成された「金融機関への2021―22年決済資金調達進捗及び返済計画リスト」という表である。イセが遊休不動産を売却して債務返済に充てる計画を立て、金融機関側に返済努力の真剣さを見せようとしたものだが、ここで売却候補に挙がっていたのは、鴻巣事務所、木更津研究所、加須(埼玉)の3カ所で、七尾の名は挙がっていない。売却候補ですらなかったトタルとの合弁事業の底地が、いきなり譲渡というのは不自然ではないだろうか。
しかし被告側は、契約書に代表者印があることを盾に、決裁権者の了解があったと主張した。イセの社員ではなく入館証を持たない村上氏が、交通会館8階本社に入れたこと自体、契約書押印の前提があったからだという。才高陳述書に対しては「押印を拒むことができた」「拒めなかった具体的事情の説明がない」と反論、取締役会決議なしの譲渡についても、イセ食品には取締役会決議を必須とする規定はなかったと主張した。管財人側はこれに対し、簿価3000万円以上の決議が必要とするイセ食品の「職務権限規程」を証拠として適示し、それが適用された事例を挙げて反論している。
さて、読者はどう思うだろうか。他の3訴訟もこの3月10日の譲渡と移転登記をめぐる争いの延長で、後にB訴訟はA訴訟に併合されている。そこではイセ食品取締役4人中、秋元氏を除く3人が譲渡をめぐる承認がなかったと証言しており、代表印を押した管理部門の部長たちもその点は口をそろえている。少なくとも数の上では、被告側の主張の証人も裏づけも乏しい。
問題は「法人所有美術品」
そしてSWHのダッチロールは、この訴訟とどこまで連動しているのか。先の金融機関向けリストには、コア以外の事業売却候補としてトーチク、九州たまごなどが挙がっていたが、問題は管財人が差し押さえようとしている「法人所有美術品」だろう。イセ・コレクションが個人所有か法人所有かは、美術品への執着の強い彦信氏と管財人が対立して、火花を散らす主戦場であり、SWHの内紛も無関係とはいえない。ストイカは秋元氏に6項目の質問状を送ったが、代理弁護人からの回答を含め、以下は次回にしよう。■(この項つづく)