トランプ「中国対決戦略」の罠
         19年5月29日、中国の対応によっては香港の優遇措置を撤廃すると警告したトランプ大統領とポンペオ国務長官(AFP/アフロ)

トランプ「中国対決戦略」の罠

「大国」化した中国への戦略切り替えは、ワシントンにコンセンサスがない。トランプの対中強硬政策は悲観派のハドソン研究所が主導しているが、偏りあり 米中とも責任転嫁に走り、「封じ込め」と「対決戦略」が区別できていない。

中国は香港の統制を強める「国家安全法」の方針に沿って、法的保護など基本的条項を実質的に修正、取り消す「公式の準備」段階に入った。トランプ米大統領とポンペオ国務長官は、中国が法制化に踏み切れば、香港に認めてきた関税や投資の優遇措置を撤廃すると警告しており、米中関係はステップ1からステップ2へと劇的な波乱含みとなった。

習近平国家主席は2020年6月下旬時点ではデッドラインを明言していないため、急いで引き金を引く気はなさそうだ。中国が法制化に向け「最終段階」に進んだ場合に起きるであろう幅広い分野での様々な問題について考慮しているようだ。中国人の言う「あちらを立てればこちらが立たず」の矛盾が、政策面でも事象面でも噴出する可能性があるからだ。法制化すれば、香港では「黒人の命も大切だ」Black lives matterで全米を揺るがせた大規模抗議デモ並みの混乱が起きるのは必至だろう。

トランプも同じ潜在的矛盾に直面している。20年11月大統領選に向け支持率は直近の世論調査で民主党のバイデン前副大統領に大きく後れをとっている。今は中国に対しこれまでの「言葉による戦争」から実際の行動に踏み出すことにより米国経済にこれ以上の損失を与えるリスクを取りたくない。カナダやメキシコ、欧州との間で様々な貿易戦争を仕掛けているため、国内では政治的な緊張も高まっている。大統領選の重要な票田である米国中西部の農業団体、特にトランプの岩盤支持層である農家が、輸出急減で経済的な痛手を被っているためだ。

中国との「ディール」宙ぶらりん

香港(および他地域)の人権を支持すると表明はしたものの、あれほど喧伝した中国とのディールを反故にしてもいいのか、決断を迫られている。また台湾政策も見直しの可能性が出てきた。米国と日本が中国による露骨な干渉から台湾を守るために台湾支援を続けてきたことは、1978年の米中国交正常化交渉前から米中間の主たる火種だった。

共和党が主張した台湾への武器供与が継続しているのは、79年に中国最高指導者の鄧小平が訪米、カーター大統領との会談で、米国が中華人民共和国を承認する見返りに、米国の台湾支援継続を認めることで合意したことにさかのぼる。米議会が承認の「対価」として国内法で台湾が必要とする防衛用の兵器供与を義務付けたのだ。

最近の懸念は中国がコロナ危機を「利用」して東シナ海や南シナ海で日本に対し勢力を拡大する動きを強めていることで、タイムズ・オブ・インディア紙のコラムニスト、ナヤン・チャンダはこう警告した。

新型コロナの感染が武漢から世界に広がってパンデミックとなったため、経緯の説明責任を求める世界の動きは、中国に極めて敵対的なナショナリズムを引き起こしたようだ。中国は自国を、国を貶めようとする西側の卑劣な陰謀の犠牲者だと主張する。南シナ海から香港の街路、豪州の農耕地からシリコンバレーと、あらゆるところで中国政府の攻撃的な姿勢が目立つ。

中国とインドが国境を接するヒマラヤ山脈付近での緊張でさえ、わずかな土地をめぐる小競り合いではなく、中国によるインドへの外交的威嚇とみるべきだ。中国指導部は、インドがもし世界の覇権争いで西側につくなら、それなりの対価を支払わなければならないことを理解すべきだ、と考えている。

中国問題は今や大きな岐路に立つ。中国のWTO(世界貿易機関)加盟を実現させた時点(2001年)までは、米国は中国を大国扱いする代わりに、それにふさわしい国際貢献を求めるという基本的な政策枠組みのもとで、北京指導部と協力して中国が西側諸国のガバナンス体制と価値体系に組み込まれるよう図ってきた。子ブッシュ政権で対中政策を担ったロバート・ゼーリック国務副長官が提唱した有名な「中国を責任あるステークホルダーにする」という政策目標である。

ゼーリックが最初に目標にしたのは中国を既存の西側システムに組み込むことだったが、融合が進むと責任あるステークホルダーとして行動するかどうかに焦点が移った。米国が中国に強いるのではなく、中国側から自発的に動くべきなのであって、米国の重要な政策目標は、中国がそうした政策を選択しやすくなるように環境を整えることだった。

ところが、胡錦涛政権になると、中国が掲げた「自主イノベーション能力の向上」政策に世界の企業が懸念を抱くようになった。人民解放軍を体系的に増強し、軍事力を行使して日本や東南アジア諸国に領海拡大の圧力をかけ始めると、西側の懸念はさらに増した。

中国の挑戦について、かつてジェームズ・ベーカー国務長官の最高戦略部門である政策企画本部に勤務し、アトランティック・カウンシルのフェロー、ロバート・マニングの同僚だった国防総合大学フェロー、ジェームス・ピュージストップはこう指摘している。

我々が「ベーカー・ルール」と呼んだ原則がある。政策を成功させるには政治からの支持が必須の条件であり、それがなければ「政策」は成り立たないというものだ。今日、中国に関しては、米国内に何の政治的コンセンサスも見当たらない。問題が山積しているだけだ。少なくとも、まず概念として中国問題は、米国だけの問題ではないということを認識することから始めなくてはならない。中国がもたらす多種多様な問題に上手に対応するには、欧州とアジアの同盟国の支持が必要だ。つまりこれは皆で立ち向かわなければならない問題なのだ。

日本や米国は、中国が約20年前にWTOに加盟して以来形成されてきたグローバルなサプライ・チェーンのなかで、次第に「荒海を航海する」ように翻弄され始めた。トランプ政権になってから状況は格段に厳しくなり、比較的順調だったクリントン政権やブッシュ政権時とは様変わりとなった。

なぜコンセンサスが失われたのか。今日、米国の政策当局者がいかなる政策を志向しようにも、中国はもはや「新興国」ではなく、すでに「大国」になってしまったことである。中国は「新常態」を模索し、歴史的にみても巨大な経済力、軍事力、外交力を行使し、野心を満たそうとしている。その結果、中国が「責任ある」行動で西側社会に入る環境をお膳立てする、という米国の政策目標は深刻な変更を余儀なくされた。

ワシントンの有力シンクタンクは何をしているのか。特に影響力の大きいシンクタンクは、左派民主党系のブルッキングス研究所、超党派の戦略国際問題研究所(CSIS)、主に共和党系のアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所、保守色の強いヘリテージ財団などである。

「西側組み込み」のアテ外れて空白

今年(20年)、トランプ政権に最も戦略地政学的に影響を与えているシンクタンクは、悲観的で強硬なハドソン研究所だ。長年、日本と韓国を研究してきたスタンフォード大学講師ダニエル・スナイダーは5月26日に東洋経済オンラインに寄稿、いかに政策が政治に動かされているかの内幕を書いている。そこではトランプ政権の政治戦略とコロナ禍でもたらされた経済危機について、ジェフリー・ベイダー(オバマ前政権のNSCアジア上級部長で中国政策担当)のコメントを引用した。

「トランプ大統領は新しい悪役を見つける必要があった。中国側のコロナの取り扱いについて一連の陰謀説を考えだす必要に迫られていた。背後には、大統領関係者によって組織された虚偽情報キャンペーンがある」

ニューヨーク・タイムズ紙などによると、トランプ大統領は、米情報機関にキャンペーンを裏付ける証拠を探すよう強く求めている。この点、筆者も情報機関の高官に確認している。

「トランプ大統領が次に取った手段は、CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)、DIA(国防情報局)を含む情報機関すべてに、中国が新型コロナウイルス感染症に責任があるかどうかを知るためそれぞれの機関が持つ情報ファイル――通信傍受、ヒューミント(スパイが得た情報)などあらゆるものを調べ上げることを課した」とこの高官は語る。

「この種の任務が課せられると、いきなりまことしやかな、操作され、誇張された『機密情報』とやらがいつもどこからともなく出てくる」

ハドソン研究所の上級副所長は、誰あろうルイス・リビーである。子ブッシュ政権下ではチェイニー副大統領の首席補佐官を務め、「スクーター」リビーと呼ばれて、イラク侵攻を正当化するため、情報機関にガセ情報を捏造させる件に関与した。そのリビーのいるハドソン研がトランプ対中政策を立論しているのだ。スナイダーはこう続けている。

トランプ大統領との近さをアピールするマイケル・ピルズベリー〔『チャイナ2049』の著者〕やリビーらは、ハドソン研究所を拠点にしている。19年10月にポンペオ国務長官がそうしたように、マイク・ペンス副大統領も18年後半にハドソン研究所で、自身の主要な中国に対する強硬政策の演説を行った。

ハドソン研究所はまた、安倍政権がホワイトハウスに近づくチャンネルになっている。安倍晋三首相はハドソン研究所で何度か公式スピーチをしているが、同研究所に紹介したのは個人的な友人であるリビーである。安倍首相のもう1人の友人であるケネス・ワインスタイン所長は、次期駐日アメリカ大使に指名されている。

トランプ大統領の中国観は、主に貿易不均衡問題に対する執着と彼のネオ孤立主義者としての衝動からつくられているようだが、ポンペオ、ナバロ大統領補佐官、リビーらの中国観は、中国に対する脅威論から根付いたものだ。

オバマ政権が、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に否定的な立場を取り、対応を誤ったように、米国はここ数年、中国に対し否定的な想定や解釈に基づいた敵対的姿勢が台頭してくるなかで、中国の活動や野心をどこまで「大国としての正当な行為」として許容すべきなのか、答えを出しかねてもがいている。

米国が国際社会の調和を乱すような行動を取れば、21世紀の重要な時期に米国の影響力が低下するというリスクを招く。アジアが右傾化するか、左傾化するか、中道を歩むか、いずれだとしても、これは問題になる。すでにトランプはきわめて重要な安全保障条約を取引材料にして、その存在意義を疑うようなことをした。韓国との交渉では同国との安保条約を極めて弱体化させてしまったのだ。

共和党と民主党はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についてはそれぞれの立場があるが、トランプが奇妙な関税を発動し、TPPから離脱して協定の発効を遅らせたためにアジアの経済運営を深刻に後退させたという点については意見の相違はない。

つまり、昨年来の米中の派手な中傷合戦が始まるかなり前から、アジア全域では懸念が高まっており、米中の戦略的、軍事的対立の脅威が増していたということになる。ハーバード大学グレアム・アリソン教授は17年のフォーリン・ポリシー誌の記事「ツキュディデスの罠」(日本版タイトル)でこの状況を劇的に表現した。

ハドソン研主導で責任転嫁「起訴状」

ある大国が、別の大国の地位を脅かそうとする時、ほとんどの場合戦争が起きる。ただ戦争は必然ではない。

アリソンは日本および世界に向け「中国は米国に取って代わろうとしているのか」と問いかけたのだ。いまや米国のほとんどの中国専門家がそうした懸念をもつが、対応は大きく意見が分かれている。中国に対し対立的なアプローチを取ることに反対する人々もいるが、残念なことに中国の重商主義的貿易・金融政策が変わることはなかったし、南シナ海の基地を軍事化しないという習近平主席の約束はすべて破られた。人民解放軍は武力で尖閣諸島の周辺で日本に圧力をかけ、他の東南アジア諸国の漁業権を脅かし続けている。

このような状況で11月に向け米国の大統領選が過熱していくのはあまり好ましいことではない。前述したアトランティック・カウンシルのボブ・マニングは懸念を表明した。

苛立たしい状況だ。自由に対中政策の議論を戦わせる場がない。中国による影響圏の拡大はどこまで許容されるのか、つまり米国はどこまで中国と共にやっていくことができ、明らかな逸脱はどこからか――こうした「大問題」がぼやけてしまっている。お互いに「私の方がタフだ」と異常なまでに競い合う誇張合戦と現在の反感の伝播を乗り越えるための政策の境界は、どこにあるのだろうか。

良くも悪しくも、トランプとバイデンの対決は一般の選挙民ではなく、よりエリートを意識したメディア上の論戦になるだろう。上院民主党政策委員会で筆者の同僚だったケビン・ニーラーはこう指摘した。

11月の大統領選では中国問題は焦点にならない。米国の近代政治史の中で、現職が選挙戦の争点を個人の能力ではなく、あるテーマに絞って勝ったことがあっただろうか。

著名な政治評論家チャーリー・クックは筆者らに次のよう話した。それはニーラーの指摘やこの記事のテーマとも重なる。

様々な騒音があっても中国問題が11月に争点にならないのは「誰が悪いのか」について共和・民主両党で意見がまとまっているためだ。その代わり我々が目にするのは、トランプとバイデンが棍棒を手に、弱腰だったのは誰か、どちらが今後一歩も引かない姿勢を見せるか、今まで間違いをしたのは誰で次に間違えるのは誰か、と言い争う姿だろう。

トランプが大統領としての実績を訴えるのは難しい。公約だった「米国にとって最高の成果」を勝ち取るとした貿易交渉は実現していない。関税引き上げを導入したために共和党の地元の農産物の売り上げは激減した。アルゼンチンや豪州の生産者に流れた食肉や穀物の売り上げは、一度失われると取り戻すのはまず無理だろう。

ホワイトハウスは5月20日、リビーやハドソン研究所の主張を基に「米国の中国に対する戦略的アプローチ」と題する報告書を連邦議会に提出した。報告書では序言から中国に対する対決姿勢を鮮明にしている。

米国が中国と国交を樹立して以来、中国への関与政策を進めてきたのは、両国の関係が深まることによって中国の経済的、政治的改革が進み、中国は建設的かつ責任ある世界のステークホルダーになるだろうとの期待があったからだ。

過去20年で中国の改革は逆方向に

だが40年以上経って、米国は政治経済改革を抑制する中国政府の意向を過小評価していたことが明らかになった。過去20年間、中国の改革は減速し、停止、または逆方向へ動き出した。中国は急速な経済発展を遂げ、世界との関与を深めてきたが、それが米国の期待したように市民を中心とした自由で開かれた秩序へと収束することはなかった。中国は代わりに自由で開かれた、法の支配に基づく世界秩序を利用し、自己に都合の良いように変容しようとしている。中国政府は既存の国際秩序を中国の利益とイデオロギーに沿ったものに変えてゆくと公に認めている。中国がその経済的、政治的、軍事的力を活用して他国に自国の意思を押し付ける行為は米国の国益を損ない、世界の国の主権と個人の尊厳を傷つけている。

中国の挑戦に立ち向かうため、米国政権は中国に対し対立的アプローチを取る。そのためには、中国の意向と行動を冷静に評価し、米国が多くもつ戦略的優位性と手薄な部分を再評価し、それに伴う両国間の摩擦の増加は容認する。米国の中国に対するアプローチは、ある特定の体制を想定するものではない。むしろ、2017年の米国国家安全保障戦略(NSS)の4本柱で謳われたように、米国の死活的利益を守ることを目的とするものである。

これはまさに「起訴状」だ。ポイントは、政治評論家のクックが指摘したように中国問題が「共和・民主両党間で主要な懸念としてコンセンサスになっている」ことであって「冷戦の始まり」や「ツキュディデスの罠」の心配が現実味を帯びてきた。この報告書が他の様々な立場を取る中国専門家の分析と異なるのは、事実を100%軽蔑的に性格づけし、感情的で価値判断を含む形容詞を多用していることだ。危険な匂いがする。マニングはこう述べた。

人種差別抗議デモに埋没しかねないトランプ大統領(6月7日、ワシントンDC)AFP/アフロ

私には、共和党と民主党間で「コンセンサス」があるというより、両党とも「反感の伝播」の状態にあり、未だに矛盾に対する怒りを感じる悲しみの第2段階にあるようにみえる。中国で改革と欧米への融合の動きが止まった、という現実を認めることができず、拒否の第1段階に長く留まりすぎたせいだ。この報告書ではホワイトハウスは中国の体制の転換を目論んでいるように見える。「中国」とは呼ばず「中国共産党」(あたかも1949年の建国当時から一党独裁体制だったかのように)または「中国人」としていることに注目している。

どんなに嫌っても、中国共産党とその党員8千万人がどこかに消えるわけではない。持続可能な政策はそれを想定して立てるべきだ。米国は核保有国に対し、対立の条件と範囲、超えてはならない一線、戦略的抑制、また利益が一致し協力が可能な範囲を明確にする必要がある。

また、習主席の野心と現実的な譲歩を受け入れる余地の違いが明らかでない。この差を検証する外交的戦略はあるのか。報告書にはほとんど見当たらない。

鄧小平は、米国が台湾に武器供与を続けることには反対だったが、止めさせるのではなく「調停」によって解決した。その効力は今も続いている。外交的な手段である「封じ込め戦略」と、より敵対的な「対決戦略」の効果の違いを解析することは、特に海洋戦略の場合、長期にわたり最大級の難題だった。だからこそハドソン研究所が強い影響力を持つことについては懸念が残る。報告書は、米国は同盟国と協力すべきだとしたが、トランプに果たしてそれができるだろうか。WTOと同盟国に対し深く関与するべきだとした件は、皮肉にしか聞こえない。

また、報告書は共通の利益に基づき協調体制を作るべきだとしているが、積極的な提案は一切ない。バイデンにとって気候変動問題やウイルス、北朝鮮問題での国際協調推進がチャンスになるだろう。特に、間違いなく起きる海面上昇問題を取り上げるべきで、中国や日本の沿岸地域、インドネシアのほとんどの国土が水没し、大災害に見舞われる可能性がある。最後に、トランプとポンペオが中国に新型コロナ禍の責任をなすりつけようとする批判合戦の背景とそれがアジアにもたらす広範な影響について、スナイダーの説得力ある分析を引用しよう。

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックをめぐる米中の批判合戦は、この1週間でエスカレートの度を増している。意趣を含んだ厳しい言葉の応酬や罵倒が日常の出来事になり、舌戦が台湾や南シナ海での深刻な緊張を一段と高める懸念が強まっている。

習近平とトランプの2人は、パンデミックにより国家元首としての正続性と政治家としての将来性への挑戦に直面し、危機を招いた責任の転嫁に忙しい。

政治の「暑い夏」がまもなくやってくる。(敬称略)■

=翻訳・井上裕子