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最後からの二番目の真実

中国政商「郭文貴」追撃ブログ6 アンダーソン・毛利の三流弁護士

ハイヤーのエコリムジン東京と運転手が、キャピタル・パートナーズ証券とSBIリクイディティ・マーケットの社長、社員計4人に損害賠償を求めた訴訟、東京地裁(ワ)19602号は、9月14日に第一回弁論が開かれた。

担当は東京地裁民事43部(市川多美子裁判長)で、原告側は訴状でZhang ZhiWei氏としていた人物が実際には郭文貴氏であり、被告側は敢えて事実と異なる主張をしていたと指摘した点について、裁判長が被告側の見解を質した。

被告SBIの訴訟代理人(アンダーソン・毛利・友常法律事務所の松村卓治弁護士、河合健弁護士)は、次のような発言をした。

(1)Zhang氏が郭文貴という名前も持っていることは知っており、Zhangという名は通称の一つだと認識している
(2)郭文貴という名前も本名がどうか分からない
(3)Zhang氏が実際には男性秘書の名であるということについては、今回の原告書面で初めて聴いた

などと述べた。よくもまあ、法廷で口から出任せをしゃあしゃあと。すでにこのブログシリーズ3でZhang ZhiWeiを漢字で書くと「張志偉」であり、顔写真付きのパスポートがツイッターで公開されていることを示した。このヘッポコ弁護士2人は、クライアントからちゃんと聴取していないだけでなく、自力での調査能力もないことを露呈している。この手抜き、将来は暗いね。


松村卓治弁護士




河合健弁護士

この件で当初、被告側の代理人に立ったのは星野健秀弁護士で、虎ノ門で事務所を開いている東京第二弁護士会所属の個人弁護士だった。




おやおや、どんなご縁でと思ったら、東北大学法学部を1974年に卒業して、短期間大手企業に勤務したとやら。あはは、野村證券である。なあんだ、SBIの総帥、北尾吉孝とキャピタル・パートナーズ証券社長の筒井豊春と同期じゃないか。おやおや、仲のよろしいことで。ややこしい案件だけに、同期の桜にお願いしたわけか。しかし9月はじめにFACTAからの質問状を受けて、痛くない(?)ハラを探られることを恐れたか。



そこで有名弁護士事務所に駆け込んだのだろう。松村は53期で反社やコンプラ、河合は62期でフィンテクが専門とかで、とにかく中国のインテリジェンスが絡んだ案件なぞ手掛けられる経験もなさそうだ。中国語もからきしではないのか。そのくせ、「原告らの書面に出てくる出版会社はFACTAという会社で、SBI社との間でいろいろ訴訟があり、SBI社が勝訴しており、まともな出版会社ではなく、その報道はおよそ信用できないことを申し述べておきたい」と一丁前の口をきいている。

「勝訴」は北尾らの勝手な解釈で、それが証拠にこのホームページには彼らが訴えた記事が訂正も修正もなく掲載されているし、その英文翻訳記事は、海外読者のためにSBIがどんな会社かすぐ分かるようフリーで掲載されている。くやしくて北尾は刑事告訴したが、東京地検は不起訴にした。それも知らずに松村、河合は、クライアントの言い分を丸のみして、裁判所で失敬な放言をしている。このお二人こそ「まともな弁護士ではなく、その発言は信用できない」と申し述べておきたい。

が、本件ではすでに大恥をかいたも同然である。松村、河合は「いずれにしても秘書ではなく後部座席のZhangこと郭と熊の個人的な親交の会食であるとする主張に変更はない」と述べているからだ。ブハハ、前回ブログで重光達雄SBI常務が同席した証拠があがっているじゃないの。では、なんで熊の上司が一緒にいたのか、それをなぜ隠しているのか、ちゃんと落とし前つけていただきましょう。

彼らは論理的にも破たんしている。原告側は「被告熊が郭文貴と長年の友人ならばZhang氏と郭文貴が同一人物と勘違いするはずはなく不合理である」と指摘した。原告側に座布団1枚!すると「長年の友人ではなく、友人というよりも知人に過ぎない」と述べた。だからどうなの?重光が同席する口実にも何にもなりゃしない。

アタマ悪っ!さあ、両弁護士がくじけないよう、みんなで励ましのお便りを出そう。
takaharu.matsumura@amt-law.com
ken.kawai@amt-law.com

中国政商「郭文貴」追撃ブログ5 東京の中心で「青山!」と叫んだ男

さて、エコリムジン東京の運転手にとっては、赤坂1丁目近くで最初の客に嘔吐され、車内を汚されてしまった災難が、もう一度繰り返すどころか、もっとひどい大トラを乗せることになった2回目の送りドライブの音声である。

■2016年8月31日15時59分〜16時01分
ハイヤーは東京・昭和通りを銀座 8 丁目付近を通って銀座東5丁目信号で U ターン。1回目のドライブでSBIの熊が嘔吐し、座席の掃除をさせられた運転手の口から思わず愚痴が漏れる。
運転手:This is my first experience anyway.(こんな目に遭うのは初めてだよ)

■16時01分
車は電源開発先を左折する。「大上海」の店先に 3 人の男が待っている。
ボディーガードの張志偉 はグレーのスーツで携帯を持ち立っている。紺のスーツに水色のワイシャツの崔建雄(キャピタル・パートナーズ証券)と、上着なしで白いシャツの郭文貴は酔いつぶれている。
運転手:So persons are chunked up?(みなさん酔いつぶれてるんですか?)
張志偉:No Problem. Go to ○○Hotel.(大丈夫だ。ホテルへ)
運転手:This seat cannot sit down.(こちらのシートには座れません)

■16時02分
ハイヤーの前を右から左へ郭文貴が横切る
運転手:This side.(こちら側です)

■16時03分
ハイヤーが発車。銀座 6 丁目 新橋演舞場付近まで、中国語の酩酊した声が続くが、聞き取りにくい。
張志偉:今天都关。(今日はみんな閉店してます)
郭文貴:Is Miyake closed?(ミヤケは閉まってるのか?)
張志偉:Closed(閉まってます)
郭文貴:Aoyama?(青山は)
張志偉:Aoyama closed(青山も閉まってます)
郭文貴:Aoyama closed?(青山も閉まってるのか?)
張志偉:Yes. 因为这两三天他们都关门,因为有地震,是这样。(はい。ここ2、3日みんな閉まってるんです。地震がありましたからね。そういうわけです。)
酔いつぶれた郭を何とかホテルに連れ帰ろうと、ボディーガードの張は「地震が起きた」などとその場しのぎの嘘をついている。たぶんよくあることなのだろう。「青山」はわかるが「ミヤケ」とはどこのことか。いずれにしても、郭は東京の地理をけっこう知っているようだ。何度も訪日していることが伺われる。

■16時03分
運転手がホテルに電話する。
運転手:ホテルカーの〇〇です。お疲れさまです。あと 10 分くらいで到着しますけ
れども。あの、かなり酔っていらっしゃいまして。ご自身で歩けるかどうかわか
らない状態で。はい、よろしくお願いします。
郭文貴:I wanna...(※聞き取れない)
張志偉:No problem,hotel?(大丈夫だ。ホテルへ)
運転手:Going back to Hotel.(ホテルへ戻りますね)
郭が後席のティッシュ箱を前席に投げつけた?
張志偉:Quickly,Quick,Quick.(急いで)

■16時06分
晴海通り東銀座付近でビニールをこするような音、張志偉が郭文貴にビニール袋を渡して吐かせたのか?
張志偉:那个...(※聞き取れない)
崔建雄:Sorry,I'm Sorry.(すみません。ごめんなさい)
後席で気絶していた崔が、ここで一瞬目を覚ましたのか。郭は隣で吐き続けている様子。数寄屋橋交差点にさしかかる。

■16時08分
張志偉:老板,你开车慢点儿...(ボス、[運転手に向かって]少しゆっくり運転してくれ。※その先は聞き取れず)
你开慢一点儿(少しゆっくり運転してくれ)
張は慌てているのか、英語でないと通じない運転手に向かって中国語で指示を出している。

■16時10分
後席で郭文貴が騒ぎ出す。
郭文貴:找个咖啡厅喝...(どこかカフェを見つけて...)
張志偉:老板,Hotel.(ボス、ホテルに戻りますよ)
郭文貴:Coffee,Coffee,Coffee,Coffee,Coffee!(コーヒー、コーヒー!)
I say Coffee,Please...。这儿...。(俺はコーヒーって言ってるんだ! 頼むよ。※その先の中国語は聞き取れず)
張志偉:你看一下,崔总。(ちょっと見て。崔さん)
「崔总」は直訳すると「崔社長」という意味だ。中国では実際の肩書きと関係なく、企業で一定以上の地位にある管理職を取り巻きが「社長」と呼ぶ習慣がある。日本語の「シャチョーさん」「ブチョーさん」のニュアンスに近いか。いずれにしても張志偉のこのひとことは、郭の隣に座っていたのがキャピタル・パートナーズの崔だった証拠だ。

郭文貴:Office? OK.(事務所? OK)
Coffee,咖啡啊(コーヒー、コーヒーだ! ※前席の背もたれを蹴りながら?)
張志偉:你,这样,到酒店休息了,他这样真不行了...。(ボス、こういうのは、ホテルに着いたら休みましょう。こういうのは本当にダメです...)

■16時12分
日比谷交差点を右折。
郭文貴:Coffee!(コーヒー!)
運転手:Omotesando(表参道)?
郭文貴:Yea,Go,Go!(そうだ、行け!)
運転手:Omotesando(表参道)?
郭文貴:Yea. Go,Go. (そうだ、行け!)
運転手:Omotesando is the upset direction to the hotel.(表参道はホテルとは逆方向ですが)
郭文貴:Yea. Don't go back to hotel. I want to go to outside.(わかってる。ホテルには戻るな。俺は外に行きたいんだ)
Aoyama(青山),Aoyama. You know,I want go to Aoyama.(青山だ、青山。俺は青山に行きたいんだよ)
運転手:Aoyama? OK.(青山ですか。はい)
郭文貴:Coffee,I want to go to Coffee.(コーヒーだ。俺はコーヒーを飲みに行きたいんだ)
運転手:Coffee? OK.(コーヒーですか、はい)
運転手は呆れ果てたのか、青山へ向かえと騒ぐ郭の要求を適当にあしらっている。前席の背もたれを蹴るような音
郭文貴:陈酒,啊...(酒だ...)
張志偉:什么东西?(何ですって?)
郭文貴:陈酒...(酒...)
張志偉:它没有...(ありませんよ...)

■16時13分
日比谷通り、第一生命ビル付近
後席から酩酊した中国語が聞こえるが、意味不明。
前席の背もたれを蹴るような音

■16時13分
嘔吐したような音

■16時17分
ホテルの車寄せ到着

■16時18分
ホテルマンが介抱か?
郭文貴:No!(やめろ!)
ホテルマン:あれはやばいな...

そこから先は訴状に書いてある。ホテル従業員が車椅子を用意したが、酒乱の郭は車椅子や車の後部席を蹴飛ばした。そこで張が郭を背負って、ホテルの303号室に連れていった。他方、崔は車から降りられず、失神状態で車内にとどまった。17時40分ごろ、やっと目を覚ましたが、まだ悪酔いは引かず、車から出たものの、ホテルに隣接する大手町ファーストスクエア敷地内で再び横になり、嘔吐を続けて19時近くに知人が迎えにきたというから、3時間ほどのたうちまわっていたことになる。

目もあてられない。これだけ迷惑をかけて、知ったことかと尻をまくる気がしれない。が、このご乱行の裏に隠れているもののほうが、よほど根は深いのである。

中国政商「郭文貴」追撃ブログ4 車内でのゲーゲー会話

東京地裁民事43部に提出されたエコリムジン東京の訴状には、郭一行が送迎につかったハイヤーBMW740Liが、東銀座の中華料理店「大上海」から客5~6人を二度に分けて送ったことが記されている。

1回目大上海→六本木1丁目(SBI本社のある「泉ガーデン」)へ
乗客2~3人SBI関係者2~3人(?)
2回目大上海→大手町(郭の宿泊先ホテル)へ
乗客3人郭文貴とボーディーガード張志偉、キャピタル・パートナーズ証券崔建雄

このうち1回目の乗客数がはっきりしないのは、前回のブログで「人肉捜索」を呼びかけた「第6の男」が乗っていたかどうかがなお不明だからだ。


追撃ブログ1で公開した車内で暴れる郭の映像は、2回目のドライブのものだろう。

1回目の画像はユーチューブにはない。それをいいことに、SBIは本誌質問状への回答で、SBIリクイディティ・マーケット取締役事業本部長の熊龍豹が個人的に出席した会合だったと回答し、ほかに誰が出席したかをほっかむりで済まそうとした。

ユーチューブ動画は2回目の助手席に乗った張志偉が撮っていたから、SBI側のメンツは、運転手に名刺を渡した熊以外は面が割れないだろうと高をくくったのだ。だが、実は1回目の送りドライブにも画像と録音がある。そこには、SBIホールディングス取締役常務(SBIリクイディティ・マーケット社長)の重光達雄がはっきり確認できる。ハイヤー運転手に以下の写真で確認してもらった。頭隠してシッポ隠さずとはこれを言う。

20170922001.jpg


動画は証拠資料として原告側弁護士が裁判所に提出するだろう。そこで、ここでは会話のほうを文字で再現させてもらおう。録音では2人の人物と運転手の声が聞こえる。嘔吐したのは熊だから、もう1人は必然的に重光である。1回目のドライブが大上海を発車した時点で、第6の男も乗っていたかどうかは調査中だが、なかなか嘔吐シーンは迫真的で、ついつい胸にこみあげるものがありますよ。



■2016年8月31日15時34分 赤坂1丁目ATT新館付近
重光:そこ、がーっと行っちゃって。車寄せに着いたら、トイレすぐあるからな。
大丈夫か。大きくゆっくり息を吸っときゃ大丈夫。
熊:はい。はい。
重光:そうだ。そうだ。もうちょっとだ。
(重光が熊に話しかけ続ける)

■15時35分赤坂1丁目桜坂付近
重光:これ(坂を)上がっちゃおうか。ここで上がっちゃおう。
大丈夫か。

熊:はい。

■15時36分赤坂1丁目霊南坂教会付近
(熊が後席で嘔吐)
重光:ここで一回停めようか。
(アークヒルズ・エグゼクティブタワー付近の路肩に停車)

重光:出ちゃえ。出ちゃえ。そんなことやらずに出ちゃえ。
それはちょっとやばいな。運転手さんに任すしかないわ。

運転手:ちょっと、ご連絡先をいただけますかね。後でクリーニングの問題も出てくると思いますので。

重光:うん、ねえ、うん。

(ドアが開く音。重光と熊がハイヤーから降りる)

重光?:熊ちゃん、名刺渡して。吐いちゃって。我慢せずに吐いちゃって。
名刺だけ渡して。何かあったら。このクルマじゃまずいもん。
はい、はい、これ渡して。相談してやろう。
はい、ここでいいよ。あと、このクルマじゃ、迎えに行けないでしょう?

運転手:そうですね。

重光?:申し訳ないね。じゃあ、何かあったら言って。

(ドアが閉まる音)

このあと、路肩に停車したまま後部席を運転手が掃除。嘔吐物を拭き取ってから運転席に戻る。

■15時47分運転手の携帯が鳴る。郭の女性秘書から呼びだしか。

運転手:OK, Hello. Yes speaking. OK, I will go now. About 15 or 20 minutes at the restaurant. OK.

ハイヤーが発車し、大上海に向かう。

SBIホールディングスは、弊誌報道について17年9月19日、この会合は郭と熊の「個人的付き合いから生じたものに過ぎない」とするリリースを発表した。そこでも往生際悪く、親会社HD常務である重光社長の同席を伏せたままだ。なぜ?すでに裁判でも原告側弁護士が、「SBIの熊は『会食は、中国の友人を紹介するという訴外Zhang(実は郭文貴)の呼びかけに個人的な興味から参加したものに過ぎず』などと主張しており、今回の情報はかかる主張の虚偽性を裏付け、熊及びSBIの主張全体の信用性を低下させる重大な事情といえます」と準備書面で主張しているはずだ。

これだけ明々白々な証拠があるにもかかわらず、隠し通せると思っているのが浅はかである。すくなくとも、この裁判は敗色濃厚と思えますな。

次回は、2回目のドライブの郭文貴らの会話を公開しよう。

中国政商「郭文貴」追撃ブログ3 第6の男を「人肉捜索」

中国には「人肉捜索」と呼ばれる人探しの手段がある。それにならって、FACTAも問題の動画に映っている人物の写真を公開して、それが誰かを特定する情報を募ってみようか。人探しで「クラウドソーシング」を試みようというのである。

インターネット浸透では日本より先行している中国で「人肉捜索」がはやったのは、やはり党幹部や官僚の大トラ、小トラが横暴を極め、そのトラの威を借る小役人や警官らが、市民に暴力を振るうなどの事例が続出したためだろう。例えば警官の悪行を通行人がスマホで撮影し、動画をSNSにアップする。するとネットユーザーがたちまちその警官を特定し、市民の抗議が警察署に殺到して謝罪に追い込まれるといった事件がしばしば起きる。スマホというユビキタスなツールを武器に、権勢をカサに着る木っ端役人を「懲罰」しようというのだ。

それを「人肉捜索」とドギツい名で呼ぶところが中国らしい。正面から立ち向かえない相手に、衆を頼んで成敗しようというのだろう。それを今回のケースに応用しよう。ユーチューブで流れた動画第3弾である。まずその魚拓をここに載せる。



実はこの第3弾、これまでのように16年8月31日の「大上海」昼下がりの酒宴シーンが映っている部分がある。先の2本の動画と違っているのは、顔のスクランブルが少ないことだ。AVじゃあるまいし、そんなのを喜んでどうするのかと言うなかれ。

もしこれが郭文貴周辺から何らかの方法で略取した中国インテリジェンスの仕業だとすると、画像処理がいささか杜撰なのである。郭の酒びたりを満天下にさらすための画像だから、郭以外の同席者の顔にスクランブルをかけているうちに、面倒になってきたのか、それとも同席者も同罪だから、ま、いいかとなったのか......横顔はほぼ丸見えで、斜め正面の顔が見えてもほったらかしにしたようだ。

ここらが中国的ズボラというか、人権意識やプライバシーに鈍感なお国柄らしい。あるいは、これを編集した人間の悪意もあるのだろうか。ともかくこの隙はFACTAにとって、いや、日本の当局にとってもチャンスである。その場面を切り出してみよう。

20170921004.jpg


さあ、この人は誰でしょう。「大上海」にいた人物として、郭文貴、ボディーガード張志偉、キャピタル・パートナーズ崔建雄、SBIリクイディティ・マーケット重光達雄と熊龍豹の5人までは画像等で確認できた。高価そうな白いブランドシャツを着てイスに座った郭が肩に手をかけて、朦朧とした顔の「第6の男」と相対している。やや年配で髪を左で分けている(賠償訴訟の被告であるキャピタル・パートナーズ証券の筒井豊春社長は髪を右から分けている)ので、この「第6の男」は日本人なのか中国人なのか、これは読者からの朗報を待とう。



情報はleaks@facta.co.jpまで。編集部への電話、FAX、手紙等でも構いません。もちろん秘密は厳守します。人肉捜索、よろしく。

さて、この場面を含む第3の動画にもキャプションがついている。

オープニング 「郭文贵的亲密关系」(郭文貴の親密な関係)

※7秒〜1分50秒にかけての録音のテロップは、郭が何者かを褒め殺しにしている様子だが、何について、どういう場面で、誰にむかって語っているのかは一切不明。これは郭の会話を盗聴しているぞという脅しかもしれない。

2分前後から画像が出てくるが、グラスを傾ける郭に顔を寄せている男は、スクランブルがかかって見えない。その次のシャンデリアのある部屋で、白人らしい2人の男と顔を寄せ合う画像が出てくるが、これもスクランブルで顔が見えない。ただ、「大上海」にはこのような個室はなく、宿泊した東京のホテルにもこのような個室はないから、東京ではない可能性が高い。その後に2分10秒前後から問題の場面になる。

第6の男は黒いシャツを着ていて、その黒い木のイスといい、室内の光の具合といい、すりガラスといい、現場を見てきたから、確かに「大上海」と断言できる。後ろには白と赤の貴州茅台酒のボトルが見える。テーブルに置かれた皿やコップの配置から、他の動画と同じく昨年8月31日の酒宴で撮られたものなのは間違いない。郭は酩酊したうつろな目つきで第6の男の首筋に手を回したり、顔を撫でたり、抱き合ったりしている。

最後はまた、「大上海」の店前で、メガネをかけた背広の男性(キャピタル・パートナーズ証券の崔か?)ともつれあう場面になる。

さて、呂律のまわらぬ口で、彼らはいったい何をしゃべっていたのか。まだほかにも記録がある。それは次に。

中国政商「郭文貴」追撃ブログ2 倒れるまで鯨飲する山東商人

ユーチューブに載った奇怪な嘔吐動画のテロップに出てきた「小訴訟」とは何か。

王岐山のスキャンダルを暴露した郭文貴は、その口を封じようとする中国のインテリジェンス(公安省、国家安全省、中央紀律検査委員会の合同チームとされる)と暗闘を繰り広げている。そんななか、ツイッターやユーチューブに郭の醜聞を暴露する謎のアカウントが複数出現した。郭の暴露に対して暴露をぶつける当局のカウンター攻撃だろう。

8月13日、そのうちのひとつが「小訴訟」の資料をツイッターでさらした。日本の民事訴訟の訴状コピーで、驚いたことに東京地裁の事件番号がついている。民事43部が担当する平成29年(ワ)第19026号で、738万8482円の損害賠償請求訴訟である(このツイッター・アカウントは9月20日時点では凍結されたため、今は見ることができない)。訴訟の日付を見た。告訴日は17年6月8日、第一回口頭弁論の期日が7月12日である。おやおや、直近に起きたばかりの訴訟なのだ。

はて、訴状は東京地裁10階で閲覧できるが、コピーはできないはずだ。
日本ですら当事者以外は誰も知らない訴訟を、東京地裁にわざわざ足を運んで、人目を盗んで写し取ったとは思えない。郭の身近にスパイがいるのか、ハッキングか、あるいは誰か関係者を拿捕してスマホやPCなどの機器を押収したかして、訴状の画像を入手し暴露に及んだ、というのがいちばんありそうなケースだ。そんなことがやれるのはインテリジェンス機関、それも相当手荒なチームだろう。いずれにしても空恐ろしい。

原告は株式会社エコリムジン東京と運転手。被告は以下の4人で郭は入っていない。
キャピタル・パートナーズ証券社長筒井豊春
社員建雄
SBIリクイディティ・マーケット社長重光達雄
(取締役事業本部長)龍豹

訴因の記述は、ユーチューブの嘔吐動画を裏書きするものだった。
2016年8月31日午後0時半、東京・大手町のみずほ銀行本店上階にある超高級ホテルの御用達ハイヤー会社であるエコリムジン東京は、宿泊客のZhang ZhiWei(実は郭文貴)の依頼で東銀座の中華料理店「大上海」まで、郭と男女の秘書の3人を送った。郭一行はそこでキャピタル、SBIと飲食した。

同3時過ぎに会合が終わり、SBI側の客2人(3人?)を先に東銀座から六本木の泉ガーデンヒルズまで送ったが、深酔いした熊龍豹の気分が悪くなり、3時36分ごろ車内で嘔吐した。SBI出席者が下車した後、運転手は郭の女性秘書から電話を受け、東銀座に車を戻した。待っていた郭とキャピタルの崔も泥酔しており、二人ともやはり車内で嘔吐した。郭は「青山でコーヒーが飲みたい」などとわめいて車内で暴れた。大手町のホテルの車寄せで郭はホテルが用意した車いすを蹴飛ばし、秘書に背負われて部屋に帰った。崔は車から下りられず、5時40分ごろ目を覚ましたが、隣の大手町ファーストスクエアビル敷地内で再び嘔吐を繰り返したという。さぞかしホテルも困り果てたろう。

まさに中国政商とのランチミーティングで、日本の証券マンが昼下がりから調子に乗って貴州マオタイ酒の杯を重ね、へべれけになって大恥をかいたという次第だ。山東省の農村部出身で酒ガブ呑みが当たり前の郭の毒気にあてられたのだ。ただし訴訟になったのは、とんだ敗着だった。ハイヤー会社のBMW740Liが汚れて、内装まで貼り替えねばならず、車が使えない休業期間も含めて賠償請求したところ、キャピタルの筒井社長が「車の保険で支払えばいい」と請求に応じなかったからだ。銭を惜しんで密事露見とはこれを言う。

ガブリと喰らいついたのが、中国のインテリジェンスだったから、相手が悪い。郭は王岐山のスキャンダルを暴露して、党大会(19大)前の中国政局を混乱させた、けしからぬ国賊だから、何が何でも信用を貶めようと、総力をあげて粗探しをしたのだろう。キャピタルもSBIも思わぬ動画が公開されて慌てふためいたに違いない。

ツイッターでは、郭のボディーガードとおぼしき人物のパスポートまでさらされた。Zhang ZhiWei (張志偉)とある。顔つきからみると、車内で助手席に座り、後部席の郭と崔の醜態をスマホで撮影した男である。これではもう中国公安部の入管を通過できまい。事実上の指名手配である。お気の毒に、中国当局による見せしめなのだろう。とにかくこれで、郭が中国金泉集団所属の「張」の名でチェックインし、東京では偽名で動いていたことが分かった。いかにもスパイのエージェントらしい。原告側弁護士は訴状提出段階では、Zhangの正体が分からず、訴外としていたが、ユーチューブの画像などでその正体を知ったため、訴状を修正して郭を被告に加える方針だ。



実は前回の動画以外にも、ユーチューブには別の場面が載っている。それも魚拓を取ったから、ここにさらそう。





これにもテロップがついている。
オープニング「瘾者郭文贵」(依存症の郭文貴)

テロップ8秒「酗酒」(大酒飲み)

※11秒〜2分05秒にかけての録音のテロップは、郭と秘書の会話と思われる。これも誰が録音したのか、それとも盗聴しているのか。東京の嘔吐事件とは関係ないので省略する。

テロップ2分07秒「瘾毒」(麻薬依存症)

テロップ2分33秒「酒瘾」(酒依存症)
ボートの上で酒を飲む郭。
途中から「大上海」での酒宴になる。郭は鼻をかんだりしているが、上体が揺れて酩酊している。シャツの胸をはだけようとするが、吐き気がこみあげてくるのか、また口をぬぐい、肘をつきうつむいて肩をたたかれている。

テロップ5分09秒「酒精中毒」(アルコール中毒)
救急病院らしいベッドで郭が横になって点滴を受けている光景が映る。ただし東京で撮影されたものではないようだ。

エンディング「每次直播上场前郭文贵都要喝一瓶茅台...」(毎回(ネット)生中継に登場する前、郭文貴はいつも芽台酒を一瓶飲んでから...)

まだ動画はある。それは次回に。

中国政商「郭文貴」追撃ブログ1 ユーチューブに嘔吐動画

インテリジェンスが「知性」だけでなく、「情報工作」を意味することは、日本でもようやく浸透してきた。CIAやMI6の「I」はインテリジェンスの略なのだ。だが、知ったかぶりでインテリジェンスを語り、それを商売にするイカモノ評論家が横行するようになった。本物に肉薄したこともないくせに、ジェームズ・ボンド気取りでかっこをつける。ああ、なんとおぞましい。

FACTAは「インテリジェンス」など標榜しない。一介の報道メディアでいいから、ドブ板取材でどこまで行けるか、とことん突き詰めたい。海外インテリジェンスのママゴトのような日本のインテリジェンス----内閣情報調査室、警察庁公安・外事、公安調査庁なんかぶっちぎってやる、という気概である。国家機関を出し抜けなければ、あらゆるリスクを背負って、割の合わない民間ジャーナリストとして生きる価値はない。

FACTA2017年10月号(9月20日発売)は、中国のインテリジェンス、国家安全省の根幹を揺るがしかねないスキャンダルに迫るスクープ記事を載せた。ネトウヨ好みの空想まじりの陰謀論ではない。この東京に現実に中国の政商兼スパイ(エージェント)がやって来て、東証第一部上場企業の銀行を裏口買収しようとした「謀略」を暴いたのだ。

記事はサスペンス仕立てにしていない。現実はもっと凄まじい。あまりに複雑だから相関図をつけたが、その壮大な金脈と人脈は錯綜した現代の縮図なので、わかりにくくても四の五の言わせない。大域性こそ現実なのだ。ユーチューブあり、ツイッターあり、東京地裁の訴状ありと、真偽とりまぜた情報の洪水を、あなたも自力で泳ぎきらねばならない。そしてJアラートだけでなく、あなたのすぐ隣にも脅威が迫っていることを自覚したら、この命懸けの取材を応援してください。

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8月半ば、グーグルの動画サイト「ユーチューブ」に、スマホで撮ったらしい奇妙な動画が載っているとの情報を得た。車内で客が嘔吐しているという。悪趣味な暴露、というだけではなかった。明らかに精悍な顔をした男が主人公で、あとの登場人物にはスクランブルがかかっていてテロップもあるから、誰かが編集した画像であることは明らかだ。

タイトルは「郭文贵小官司后面的真相」(郭文貴の小訴訟の背後にある真相)

クレームなどでいつ消されるか分からないので、「魚拓」を撮って証拠としてここに保存しておこう。ただし、嘔吐シーンなんて見て気持ちのいいものではないから、食事どきは避けたほうがいい「閲覧注意」である。



精悍な男は、タイトルから察するに「郭文貴」という中国人である。
その名を聞いたとたん、FACTAは反応した。17年6月号の「王岐山一族の『醜聞』暴露した逃亡スパイ」、7月号の「王岐山を襲う『HNAゲート』」、9月号の「中国買収王『海航集団』の躓き」として続けざまに報じたばかりだったからだ。15年に失脚した国家安全省次官、馬建の"手先"のエージェントで、中国の対外インテリジェンスの総元締めの下で握った機密情報、とりわけ習近平の懐刀で、その政敵を次々に葬ってきた中国共産党中央紀律検査委員会書記、王岐山の弱みを知っているキーマンとされてきた。それがユーチューブの画像で醜態をさらしているのみならず、嘔吐した現場が東京だというのだから聞き捨てならない。

画像を見ると、最初に廊下らしきところを郭が歩いてきて、窓外に緑が見える豪華なコンドミニアムの一室であることが知れる。ここは東京ではない。郭自身のブログやツイッターを見れば、彼が購入して自邸としているニューヨークの「シェリー・ネザーランド」18階のようだ。セントラルパーク東南角、五番街に面し、プラザホテルの真ん前にあって、並びにはティファニー本店やトランプタワーもある超一等地である。窓外の緑はセントラルパークなのだ。調度なども一級品である。

それからいきなり泥酔の場面だ。背中しか見えない濃い背広の男に、郭がもたれかかっている。ほとんど正体を失っている。郭は男に抱きとめてもらいながら、カメラ目線で指でさしたり、片目をつぶったり、舌をだしたりとおどけているが、足もとがおぼつかない。背後に店の看板らしきものが見え、凝った書体だが、辛うじて「大上海」と読める。
東銀座、電源開発(Jパワー)本社の南隣、ビルの一階にある中華料理店である。

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ただし、現在は店名は同じでも、外観ががらりと変わって、安っぽくなっている(下の写真)。郭がもたれかかった「大上海」の看板も、メニューの写真に化けていた。店に入ったら、高級店ではない。60席ほどの黒い木のイスとテーブルがならび、個室はない。調理場は丸見えである。ごくふつうのサラリーマンが寄りそうな庶民向けの中華料理店だから、ご興味のある方は実地探査されるがいい。

ちなみにランチはセットで880円、量もどっさりで、コスパはいいが、味は大衆的だ。銀座といっても、郭のような富豪が豪遊する場所とは思えない。なぜ、こんな店で?それに、昼からあんな大酒をくらってベロベロなのに、ほかの客はどうしたのだろう。それとも貸切?ここは国安省御用達のお店なのか。店員に聞いたら、1年前とは店員全員が入れ替わっているそうだ。もしかすると、オーナーごと居ぬきで代ったのかもしれない。足跡隠しに?




さて、車内の嘔吐シーンである。郭は後部席の左側にいて、蹴ったりして暴れている。ティッシュ箱が運転席のほうに飛んできた。もう一人は後部席の右側で、はだけたシャツに嘔吐物を散らしたまま、完全に失神している。奇怪なのは助手席にガードマンらしき体格のいい男が座っていて、この画像全体をスマホで撮影していることだ。なぜ、こんなぶざまな姿をわざわざ撮っているのか。

エンディングのテロップは
「东京小官司至今仍未结束」(東京の小訴訟は今もまだ終わっていない)

小訴訟? それは何のことか。次をご期待。