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金融“半グレ”が狙う「薬局」や「太陽光」
SNS(交流サイト)や太陽光発電プロジェクト、被災地の復興など、大きな資金が動き、多くの人が集まる分野には反社会的勢力も集まるものだ。これに企業の合併・買収(M&A)が絡んでくると、金融の“半グレ”たちも集まる。
今、この半グレたちが食い物にしようとしている業界をご存じだろうか。ドラッグストア業界がそれだ。コンビニが全国的に飽和状態に近付いている一方、店舗展開に伴って中小薬局の買収競争が盛んに行われているのが背景になっている。
調剤薬局を展開する、ある上場企業の幹部によると「かつて人材派遣業のM&Aで暗躍し、荒稼ぎした連中が中小薬局のM&A市場に流れ込んできている。ウチの会社にも売り込みに来るが、買収金額や手数料をかなり吹っ掛けられる」という。
ドラッグストアの大手企業が、個人経営の“街の薬局”を買収する際、顧客数や不動産価格、薬剤師の人件費を把握すれば割と簡単に買収金額が算出できてしまう半面、もともと中小薬局の買収は不動産投資の側面が大きいうえ、「投資資金を10年くらいで回収できれば」とアバウトに考えて、買収金額はどんぶり勘定になりがちだ。半グレたちにとっては付加価値部分に当たるのれん代の見積もりを恣意的に行えるため、つけ狙いやすい。
太陽光発電ビジネスでも同じことが言える。
FACTA5月号では東証マザーズ上場企業が中国人に乗っ取られた経緯を報じたが、これも実際には価値が把握しにくい非上場企業と上場企業の間で株式交換を行ったのが仇となった。この中国人の会社による「裏口上場」とみた東証が一時、上場廃止猶予期間とし、昨年9月に解除された企業である。
米企業買収に失敗して債務超過に陥ったこの上場企業に中国人を引き合わせたのは、かつて大手証券の株式公開チームに在籍していた人物で、この「裏口上場」にも関わった。
しかも、この上場企業が立ち上げた子会社には、沖縄を根城とする反社会的勢力との関与が強く疑われる人物の影までもちらついていた。同社が参加しようとした太陽光発電プロジェクトでは、他の参加企業がこれを懸念、経営上の諸問題を解決しなければプロジェクトには参加させられないと文書で通告し、最終的に同社を排除した。企業も怪しげな連中の介入を阻止しようと、必死なのだ。
前述の調剤薬局でも金融の半グレたちが社内に潜り込もうとしているが、社長自身が彼らの動きを監視し意識的に遠ざけているという。必要以上の資金が巻き上げられないようにするためでもあるが、万一、こういう手合いに自社の株式が渡ってしまえばどんな目に遭わされるか分かったものではないからだ。
時々刻々の株価を把握できる上場企業と違って、非上場企業は値があってないようなものだから、半グレたちはここに目をつければ荒稼ぎしやすいのだろう。大した価値のない美術品がバブル期に高騰したような、あるいは霊感商法で「これを買えば幸せになれる」と言って安っぽい壺やブレスレットを法外な値段で売りつけるようなものかもしれない。
アベノミクスの験もあって株式市場の活況が続いているから、企業のM&A意欲は旺盛だ。加えて不動産市場に資金が本格的に流れ込んでくれば、半グレの培養地になってしまうだろうし、彼らに食いつかれた企業はいずれ株式を握られて蚕食される。脇の甘い会社は生き残れない。
「いつかはゆかし」のステルスマーケティング
人を操ろうとネットの裏側から自作自演の「ステマ」。暗くってやりきれないね。FACTA創刊前にこのブログを始めて、ソニーの「ステマ」を暴いたら、サーバーが落ちるほどPVが殺到したことを思いだします。ああいうことをやらせてるソニーの暗さが、やっぱりその後の無残な凋落を招いたのだと思う。
FACTAのスクープに対しても、さまざまな「ステマ」で攻撃されたことは、とっくに勘付いていますが、まともにお相手をすると、こちらまで暗くなるので見て見ぬふりをしてきました。
でも、そろそろ「ステマ」に鉄槌を下さなくちゃならないようです。いい事例が手元にあります。本誌が4月号で載せた「『いつかはゆかし』の化けの皮」のアブラハム・ホールディングス(アブラハム・プライベートバンク)です。あれだけアラームを鳴らしたのに、何をぐずぐずしているのか、消費者庁が突破口を開かないため、まだ
泣き寝入り不要 フェニックス投資事業組合の契約書
フェニックス・キャピタルが組成したファンド「ジャパン・リカバリー・ファンドⅡ」の契約書を入手した。他の投資組合もほぼこれと同じはずである。そこで「善管注意義務」(善意の管理者による注意義務)についてどう書いてあるか、ご覧に入れましょう。
第14条 業務執行組合員の責任
1. 業務執行組合員は、本組合の目的に従い善良なる管理者の注意をもってその業務を遂行するものとする。但し、業務執行組合員は、自らの業務履行に関して故意又は重大な過失がない限り、本組合の業務の執行の結果生じた損失又は損害に関して、本組合又は非業務執行組合員に対して、いかなる責任も負わないものとする。
2. 業務執行組合員は、本契約上の裁量権の行使又は不行使の結果生じた損失又は損害に関して、それが本組合の利益になると誠実に信じて行われたものである限り本組合又は非業務執行組合員に対して、いかなる責任も負わないものとする。
3. 業務執行組合員は、本組合の債務を弁済する責任を負わないものとする。但し、本組合の債務が、組合財産全部による弁済後も残存する場合、業務執行組合員は、かかる残存債務の弁済義務を負担するものとする。
ご覧のとおり、「善意の管理者による注意義務を果たして」ファンドを運営すべきことは、ここに明記してありますよね。さらに「故意または重大な過失がない限りは損害賠償をしない」ことも、契約書の第33条に書いてあるのです。
第33条 業務執行組合員の辞任及び解任
1. 業務執行組合員は、やむを得ない事由がある場合に限り、非業務執行組合員の事前の同意の下、全組合員に対して書面による60日以上の事前の通知をして、辞任することができる。
2. 業務執行組合員は、下記の場合に限り、非業務執行組合員の3分の2の同意により解任されるものとする。
(i) 本契約により認められる場合を除き、第7条に規定された出資払込義務を通知により指定された払込期限から30日以上遅滞した場合
(ii) 第12条第1項の規定に違反した場合
(iii) 業務を執行し又は本組合を代表するに当り違法の行為を行った場合
(iv) 前各号のほか、本契約上の重大な義務に違反した場合
3. 業務執行組合員の辞任及び解任は、後任の業務執行組合員が非業務執行組合員の全員一致により選任されるまで効力を生じないものとする。
4. 業務執行組合員の辞任、解任又は脱退に伴い、後任として業務執行組合員に選任された組合員は、選任以前に生じた第14条の責任に関しては、これを負担しないものとし、辞任、解任又は脱退した当該業務執行組合員が、継続してかかる責任を負担するものとする。
この二つの条項を裏返しますと、はっきり分かります。「善管注意義務違反、ないし、故意または重大な過失があったら、投資家に損失・損害を補償する」と読むのです。
東京三菱UFJ銀行(BTMU)のいいなりになって、粉飾を見逃したニイウスコーへの投資の損失や、市場価格を無視して安売りした市田やティアックの損失に関し、フェニックスが投資家に損害賠償するのは、契約上も当然のことなのです。
フェニックスのファンドに投資した投資家は、もちろんフェニックスにそれを請求する権利があります。泣き寝入りする必要はないのです。契約を履行させればいいだけのこと。ティアックはTOB中ですから、早く声を上げることですね。100億円も投資して50億円の損?その投資の正当性を証明できないのなら、カネ返せ!そのカネをみすみす損をすると分かっている富士テクニカ宮津に回すなど、もってのほか!とね。
フェニックス・キャピタル安東元代表への公開質問状
三菱東京UFJ銀行(BTMU)系のファンド、フェニックス・キャピタルは2002年に設立された。手がけた最大の案件は、2004年にダイムラークライスラーの追加支援打ち切りで経営危機に陥った三菱自動車だろう。
巨大債権を抱えるBTMUは、資本増強策を柱とする再建計画を立て、三菱御三家を中心とした三菱グループ各社と中華汽車が優先株による増資に応じ、さらにフェニックスが普通株、JPモルガンが優先株での増資に応じることになった。
ところが、05年になると、これらの増資では不十分と言われ、三菱グループを中心に再増資が行われたのです。この過程でBTMUとフェニックスが対立、フェニックスが分裂する事態になりました。そこから明らかにフェニックスがBTMUに従属し、「痰壺」化していくのです。ニイウスコーなどもその過程で派生した事件です。とすれば、フェニックスの「痰壺」化の原点は、三菱自動車の再建をめぐる葛藤にあったのではないかと本誌は考えました。
そこで、フェニックスの創業者で、三菱自動車の増資に関わったのち、フェニックスと袂を分かった安東泰志ニューホライズン・キャピタル代表こそ、フェニックスの「変質」を知る人間と考えました。フェニックスに送った質問状と同日、以下のような質問状を送った次第です。
ニューホライズン・キャピタル
会長兼社長安東泰志様
フェニックス・キャピタルについての質問状
ファクタ出版株式会社
月刊FACTA発行人阿部重夫
拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。ご承知のとおり、弊誌は昨年7,8,9月号で、ニイウスコー事件を再検証する記事を掲載いたしました。フェニックス・キャピタル創業者である安東氏は当時、ニイウスコーの経営実態を知る立場にあったと考え取材をご依頼いたしましたが、守秘義務を理由にご回答いただいておりません。そのフェニックスが最近、富士テクニカ宮津のTOBやティアック株の売却などで動きだしました。そこで改めて取材をお願いしたいと存じます。お尋ねしたい項目は以下の通りです。
① フェニックスの今回の富士テクニカ宮津へのTOBのリリースを見ますと、弊誌報道以来、フェニックスは新規募集をしていないので、安東氏がフェニックス時代に組成したファンドの投資家が支払った管理報酬があてられている可能性が高いと思います。これについてファンドの組成者として責任を感じませんか。
② ティアックへの投資も、安東氏がフェニックス代表だった時代に始めたと聞いています。結局、ディスカウントTOBになって大きな損失を被りましたが、それについてコメントをいただきたいと思います。
③ フェニックスが受け取った管理報酬は、社内でどのように分配されたのでしょうか。本来、損失を被った投資家に返済すべき性質のものと考えられないでしょうか。
④ 04~06年に発行された三菱自動車の優先株の強制転換事項に基づき、保有する三菱グループ各社の普通株転換が始まっています。この大量優先株の発行をめぐっては、当時の三菱東京UFJ銀行担当者、田中正明氏と、フェニックス代表の安東氏の間で確執があり、怪文書も出回りましたが、対立があったのは事実でしょうか。
以上でございます。弊誌次号(4月20日刊行)の締切もあり、恐縮ですが、4月8日までに直接取材、電話取材、文書回答、さらにメールの回答でも結構でございますので、ご回答をいただければ幸いでございます。よろしくご一考ください。
敬具
4月2日
この質問状について、安東氏か以下の回答をいただいた。こちらも壁は厚い。残念。尋ねたいことはいろいろあったのに……。
4月2日付質問状についての回答書
ニューホライズンキャピタル株式会社
取締役会長安東泰志
拝啓
陽春の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
4月2日付にてご質問を戴きました諸点につき、以下の通りご回答申し上げます。
① 弊社は、フェニックス・キャピタル株式会社(以下「同社」)の会社分割を経て、創業者(安東)及び陣容の一部を同社から引き継いで現在に至っておりますが、現在は、弊社及び弊社代表の安東は同社の経営に関与しておらず、現在の同社の新規投資や、その投資手法についてコメントする立場にはございません。
② 同上の理由により、弊社は、現在の同社の投資回収にかかわる意思決定についてもコメントする立場にはございません。
③ 上記同様、弊社は、現在の同社の経営についてコメントする立場にはございません。
ただし、業界一般的に、管理報酬は、適切な投資運営を行うための必要経費を賄うためのものと考えられています。また、一般論として、投資家との契約において、業務執行組合員は善良なる管理者の注意をもって業務を遂行することとされており、故意または重大な過失がある場合を除き、投資家に対する損失責任は負わない旨、定められていると理解しております。
④ 弊社は、現在同社の経営に関与しておらず、また、守秘義務の観点からも、同社がこれまでに行なった、いかなる取引に関してもコメントすることはできません。
弊社代表の安東と特定の人物との関係等についての「怪文書」等が存在することは弊社としては一切承知しておりません。
弊社は、投資家に対する忠実義務を確実に果たす一方、円滑な事業再生の実現のために、三菱東京UFJ銀行様をはじめ、全国の銀行・信用金庫様と一貫して良好な協力関係を維持しており、昨今の中堅・中小企業を巡る経済情勢に鑑み、特定の銀行等との利益相反を疑われることのない独立系企業再生ファンドとして使命を全うして参る所存です。
敬具
平成25年4月8日
しかたがない。最新号記事「三菱『痰壺』ファンドの原罪」では、周辺取材を通じて安東氏側とBTMU担当部長、田中正明氏側との間に確執があったとの具体的証言を得て、当時の状況を再現した。
昔話の蒸し返しではない。三菱自動車の優先株はいまだに、自工のみならず、グループ各社にとっても重荷で、その「パンドラの箱」が優先株の普通株転換によって開き始めたのである。最新号の記事では、三菱自工が05年に行った再増資の矛盾が以下のように露呈してきたと指摘しています。
①三菱自動車が当時大量発行した優先株は、三菱グループ各社も手放すに手放せないまま、無配が続いていること。
②強制転換条項の期限である2014年6月まであと1年余に迫り、昨年夏から転換が五月雨式に始まっていること。
③三菱重工に15%強持たせ持分法適用会社にすることで、BTMUは三菱自を正常債権にすることができたが、転換が進むと重工の比率が下がって持分法適用会社が外れかねないこと。
メガバンクはどこも、フェニックスのようなファンドに不良債権を放り込み、自らの債権の健全化を吹聴してきました。三菱自動車の場合は、奉加帳方式でグループに優先株を買わせてカネを出させたうえ、元親会社の三菱重工に15%出資させて、不良債権を正常債権に化けさせる手品が使われました。
そこに“銀行のエゴ”が隠れていたのですが、今になって壁の中から骸骨が出てきたのです。記事では「天ツバ」と書きましたが、まさに「痰壺」ファンドが不良債権の飛ばしに過ぎないことの証左として、記事を読んでいただければ幸いです。
フェニックス・キャピタルへの公開質問状1
昨年7、8、9月号の三回シリーズの連載「メガバンクの仮面」で取り上げた三菱東京UFJ銀行(BTMU)系のファンド、フェニックス・キャピタルは、本誌報道で鳴りを潜めていましたが、3月から動きだしました。
折しも、リーマン・ショック後の中小企業の倒産を防ぐためにつくられた「生命維持装置」金融モラトリアム法(中小企業支援円滑化法)が3月末で期限切れと、実に微妙なタイミングです。
「ポスト円滑化法」で金融庁は倒産急増を防ぐためさまざまな延命策を講じているからです。フェニックスのような銀行の「痰壺」ファンドの二番手、三番手が全国で次々に設立されているのです。その先達であるフェニックスの行方は、「ポスト円滑化法」の日本の金融業界の貴重な先行例と言えます。
フェニックスが企業再建に成功しているならいい。しかし、ニイウスコーのようにその「粉飾」に加担した疑いが強いうえ、銀行の不良債権減らしの道具に使われた結果、ファンドの投資家には損を与え、企業再建もはかばかしくない、というアブハチ取らずの結果と言えるのではないでしょうか。
それを証明するため、フェニックスがこの3月、企業再生支援機構から引き受ける静岡の金型メーカー、富士テクニカ宮津のTOBと、米ギブソン・ギターにほとんど投げ売りするティアックのTOBについて、フェニックスに質問状を送りました。「またFACTAか」とBTMUとフェニックスは緊張したはずです。記事は最新号「三菱『痰壺』ファンドの原罪」のタイトルで掲載しましたので、お読みください。
以下、質問状とフェニックスの回答を公開します。
フェニックス・キャピタル株式会社
代表取締役三村智彦様
株式公開買い付けについての質問状
ファクタ出版株式会社
月刊FACTA発行人阿部重夫
拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。昨年は御社および日本IBM等の取材にご協力いただき、心より御礼申し上げます。弊誌記事が連載された昨年夏以降、リリースが出ませんでしたが、この2月1日には関西アーバン銀行との業務協力協定の発表などが相次ぎ、慶賀に耐えません。3月15日には御社による富士テクニカ宮津株の公開買い付け、3月29日にはギブソン・ギターによるティアック株公開買い付け応募が発表されました。この2件について確認を兼ねて質問したいと思います。
富士テクニカ宮津株について
(1) リリースによりますと、出資者名には①フェニックス・キャピタル・パートナーズ・テン株式会社、②日本リバイバルファンド・スリー、③フェニックス・キャピタル株式会社の3社が列挙されていますが、このうち日本リバイバルファンド・スリー以外の2社からの出資は御社の自己資金と考えてよいのでしょうか。
(2) 御社は少なくとも、昨年6月号の本誌報道以来、新規のファンド募集をしていません。すると、富士テクニカ宮津株の公開買い付け資金が自己資金によるものであった場合、それは既存のファンドの投資家からの管理報酬と考えられますが、その認識は正しいのでしょうか。
(3) 弊誌昨年7月号は、投資家に対する善管注意義務を怠り、明らかに粉飾決算を行なっていたニイウスコーに対し、御社が三菱東京UFJ銀行(BTMU)の言いなりになって多額の投資を行ない、全損させたと指摘しました。本来であれば、御社は投資家に対しその賠償責任があるのに、今回の投資が損失を蒙った投資家から得た管理報酬からなされたとすると筋が通らないと考えます。他の投資に回すカネがあるなら、まず投資家にニイウスコーへの投資金額を弁済すべきだとは思いませんか。
(4) また、こうした投資家から得た管理報酬による余剰資金の一部は、三村代表取締役および渡邊前代表取締役の役員報酬・役員賞与等にあてられたとの情報があります。それは事実ですか。事実ならその額をご開示願いたいと思います。
(5) 富士テクニカ宮津への投資は、時価よりも40%も安いディスカウントTOBの手法を使っています。独立委員会の評価などでお墨付きを得ていますが、市場価格を無視するような手法を取ってまで当該投資を実施した理由は何でしょうか。
(6) 仮に当該価格で投資をしたとしても、開示されている当該会社の借入金はまだ80億円もあり、業績もまだ回復途上です。当該ディスカウントTOBの価格で日本リバイバルファンド・スリーの投資家に対する十分な利回りが確保できると考える理由は何でしょうか。機構の増資による支援額53億円を、そのまま機構から買い上げるための後付けの価格設定ではないのですか。
(7) メーンの静岡銀行はBTMUの親密地銀と言われています。企業再生支援機構に“飛ばし”ていた静銀の不良債権をこの公開買い付けで処理するよう、BTMUからの指示があったと考えてよいですか。
(8) 今回の取得株数は約16百万株ですが、これは過去の対象会社の平均売買株数が一日約3000株であることを考えると、市場で処理することは不可能な株数です。将来、どのようにこの株式を処分するつもりですか。御社が過去に市田などで実施したように、再び市場価格を大幅に下回るディスカウントで売却することになりませんか。
ティアック株について
(1) この株式譲渡は、市場価格(約60円)を大幅に上回る28円程度でのディスカウントTOBでの売却です。フェニックスの投資および投資回収は、市場)(投資家および株主)を無視した価格ですが、なぜでしょうか。
(2) ティアックへの御社の投資は計100億円近いと認識しております。この大損を投資家にはどう説明するのでしょうか。
以上でございます。本件は金融円滑化法終了後の金融証券取引法改正案の内容に関連して取材を進めております。お忙しいところ恐縮ですが、弊誌も締切の都合がございますので、何卒4月8日までに直接取材、電話取材、文書回答、さらにメールの回答でも結構でございますので、ご回答いただきますようお願い申し上げます。敬具
2013年4月2日
これに対する回答は4月8日、ファクスで届きました。予想通り、昨年と同じように守秘義務を理由にノーコメントに近い内容ですが、後半で何やらめめしい言い訳が書いてあるのが目につきました。全部が全部、企業立て直しに成功したとは言わないが、ま、努力はしてきたんです、といったトーン。昨年のケンもホロロ、よりは好感が持てますが、なんとか「痰壺」の汚名を晴らしたいという気持ちがありあり。「痰壺」全面否定でないのは、やっぱり後ろめたいのでしょうか。
ファクタ出版株式会社
月刊FACTA発行人阿部重夫様
平成25年4月8日
株式公開買い付けについてのご質問状回答
フェニックス・キャピタル株式会社
代表取締役三村智彦
拝啓時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
4月2日付のFAXにて株式会社富士テクニカ宮津及びティアック株式会社の株式公開買い付けに関するご質問を頂戴致しました。
大変恐縮ではございますが、両取引は公開買付期間中であることに加え、本件を含むいずれの個別のお取引につきましても秘密保持義務を負っておりますので、具体的回答は差し控えさせて頂きたいと存じます。
弊社は2002年の創業来、事業再生分野を中心に30社を超える会社に投資させていただき、いずれの案件においても、投資先の役職員の方々と手を携えて再生あるいは企業価値の向上に取り組んで参りました。大変遺憾ながら、ご指摘の通りこれらの投資s滝の中には損失計上を余儀なくされた案件もございますが、弊社と致しましては、いずれの投資案件においても、当社独自の判断で投資の意思決定を行い、その再生あるいは企業価値の向上に向けてベストを尽くし、投資家利益を極大化するべく努めております。
以上、ご質問の全てにご回答出来るものではございませんが、何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
敬具
はい、理解してますよ。彼らも予感している通り、「投資家利益を極大化」が笑って、ヘソが茶を沸かすBTMUとフェニックスの“最高傑作”三菱自動車の再生を取り上げましょう。その質問状は次回に。
SBIバイオテックは「轟沈」か?
弊社最新号記事「SBIバイオテック『一物二価』の怪」に対し、SBIホールディングスは3月19日に華々しい反論リリースを自社ウェブサイトに掲載した。例によって脅し文句つきである。
本件記事は当社として到底看過することはできないと考えておりますので、今後法的な対応等の実施も検討してまいります。
で、このブログで長文の再反論「SBIが墓穴を掘った反論リリース」を3月29日に掲載しているのはご覧のとおりです。
さて、それからずっと待っているのですが、「SBIバイオテックの気配値などグリーンシートのどこを探しても出てこない」という弊社の主張に対し、何の反論もしてきません。
トーマツが看過してくれないと、3月決算は困ったことになるのでは?
さて、われわれとは別に「SBI&サイバーエージェント研究会」というサイトでも、SBIバイオテックが追跡されてます。
HPの会社概要が更新されていました
http://www.sbibiotech.jp/corporate/profile.html
資本金63億3,083万円
発行済株式数7万6,696株
2012年12月25日現在
資本金66億3,083万円
発行済株式数7万9,696株
2013年4月1日現在
3000株×20万円=6億円
これでまた気配相場復活するかもしれません???
このサイトは弊誌と並行しているので、このブログも読んでいらっしゃるらしい。「気配相場復活するかも」とは、これはキツーい皮肉ですね。
しかも、こんな追記もある。
直近決算もトランスサイエンス未公開株ファンドのレポートより公開されています
http://www.morningstar.co.jp/webasp/pdf/monthly/2006092504_M_201303.pdf
売上0経常損失9.20億当期純損失9.39億自己資本(純資産)76.79億円
すごい赤字ですね。ところが、総資産たっぷり。クオーク株の評価で“イロ”をつけたってわけですね。先の反論リリースでも上場準備中とおっしゃってました。
両社(SBIバイオテックとクオーク)のもつこれらパイプラインとその臨床試験の進捗状況を東京証券取引所におけるマザーズ新規上場のガイドラインと照らしあわせた結果、SBIバイオテックの株式公開は可能と考えられることから、同社はみずほ証券を主幹事として2014年12月期中の株式公開を目指して現在準備を進めております。
なんかの冗談ですか。売り上げゼロで9億以上損を出して、上場準備?トランスサイエンスの資料を見たって、どこでそんなホラを吹けるのか。
将軍様が沈黙するのも無理はない。ま、あとは次号のお楽しみにしておきましょう。